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パワハラと「指導」の線引きはどこ? 企業の7割が困惑無自覚な「クラッシャー上司」!?(1/3 ページ)

» 2019年01月30日 14時01分 公開
[今野大一ITmedia]

 パワハラと指導の線引きがどこにあるのか分からない――。こんな悩みを抱える企業が多いことが、メンタルヘルスケア事業大手のアドバンテッジ リスク マネジメント(東京都目黒区)が実施したパワーハラスメント対策への意識調査で明らかになった。

 2018年12月下旬に、同社のメールマガジンに登録する企業の人事担当者らにインターネット調査し、268社から回答を得た。企業規模は従業員1000人未満が63%、1000社以下が37%だった。

 調査では、パワハラ対策を進める上での課題を聞いた設問に対して、最も多かった回答が「『指導』と『パワハラ』の線引きなどガイドラインの整備」(67.9%)だった。「従業員の意識改革」(57.1%)、「従業員が相談しやすい体制の構築」(48.5%)と続いた。

photo 7割弱が「指導」との線引きに悩む(以下、アドバンテッジ リスク マネジメント資料より)

 パワハラ対策に取り組んでいると回答した企業は80%だったが、従業員50人未満の企業では33%にとどまった。大企業に比べて中小企業では対策への優先順位が低い傾向がみられる。同社の担当者によれば「一般的に会社の規模が小さくなるほど、経営層が対策をコストと考えやすい」という。

photo 従業員規模が小さくなるほど対策をしていない

 実施中の企業で「対策が十分」と感じているのが40%で、不十分としたのが38%だった。不十分の理由には「同じ加害者による再発がある」「座学による研修のみで実効性が疑問」との回答がある。また、製造業では不十分の割合が約5割まで上がった。同社の担当者は「製造業では工場勤務などの労働者もおり、昔ながらの体質が残っている可能性がある。世代間で考え方に違いもある場合も多い」と話す。

photo 不十分と答える理由

 パワハラへの具体的な対策としては、「相談窓口の設置」(85.5%)や「就業規則など社会規定での明文化」(68.7%)、「管理職対象の研修や講習」(66.8%)などが挙がった。ただ、同社の担当者は「相談・通報窓口を設けるだけでは対策が機能しないことも多い。上司と部下との間で認識が異なる場合もあるので、状況を第三者の立場から整理する必要がある」と指摘する。

photo パワハラ対策の具体的な内容
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