政府が進める「働き方改革」が「働かせ方改革」になっていると、常々公言してきましたが、そのひずみがあちこちで表面化し始めたように感じています。
経営者対象の講演会では「生産性向上」という言葉がまるで呪文のように繰り返され、働く人たちからは「残業が減らない」「持ち帰り残業が増えた」「賃金が上がらない」「非正規には恩恵なし」「女性が育児で辞めなくなったのはいいことだけど、女性たちに甘えが出てきた」「雇用延長で働かないおじさんが増えた」など、聞こえてくるのは不満ばかりです。
「部下に残業させられないから、結局、私が負担することになってしまいました。正直、しんどいです」
もともと残業代がつかない管理職の人から、こういったぼやきを聞くことも増えてきました。
2月に公開された日本能率協会のアンケート調査でも、7割の人が「働き方改革実感なし」と回答。年齢別では、20代が61.5%であるのに対し、40代は69.0%、50代では75.0%と、年齢が高いほど否定的な意見が増えていました。
もちろん中には「働き方改革、最高!!」とご満悦の人もいるかもしれません。しかしながら、何のための働き方改革なのか? 働き方改革のゴールとは何なのか? それらが周知の事実として共有されない限り、ひずみが生じて当たり前です。
そもそも「働き方改革」とは、働く人一人一人が「生き生きと働ける社会」、一人一人が「能力を発揮できる社会」、一人一人が「仕事って、いいね! と思える働き方ができる社会」になることで、人間の付加価値が引き出され、結果として「生産性」が高まること。
ところが実際には、「長時間労働の削減」が働き方改革の代名詞になってしまいました。
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