69人が死亡。死因は心筋梗塞や急性心不全、くも膜下出血などの「過労死」が多く、「過労自殺」と思われるケースも。20代が46人と突出して多く、10代も2人含まれ、出身国は中国が最多で32人、次いでベトナムが26人――。
これ、何のデータか分かりますか?
彼らはみな「外国人技能実習生」です。2015〜17年の3年間で、69人もの尊い命が日本で失われていたのです。
先週、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案が成立しました。
あの醜い強行採決を、現政権になってから何度も見てきました。もはや国会は議論をする場ではなく、「時間をかけた」とするアリバイ作りの場。学級崩壊ならぬ国会崩壊。政治家のモラルは地に落ちたと言わざるを得ません。
これまでもさまざまなメディアで「外国人労働問題」については書いてきましたが、あらためて法案の問題点を整理します。
まず、受け入れ拡大の背景には、政府がこれまで原則認めてこなかった単純労働に門戸を開き、25年までに外国人労働者を50万人超増やす数値目標が存在します。
19年4月の導入を目指す新制度では、新たな在留資格として「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類を創設。1号は技能実習生から移行することを基本に想定し、「相当程度の知識か経験」と「生活に支障がないレベルの日本語能力」を取得条件としています。上限5年の在留資格を与えられますが、家族の帯同は基本的に認められていません。一方、2号は熟練技能が必要な業務に就く人たちで、実質「永住権」が与えられます。
これまで政府は、やれ「技能実習生だ」、それ「EPAだ」、ほれ「国家戦略特区による外国人の受け入れだ」、これ「留学生30万人計画だ!」など、人手不足を補うための制度を次々と打ち出してきましたが、「きちんと法律で整備しよう」と新制度を公表したのです。
しかしながら、実質永住権を与えることは紛れもない移民政策にもかかわらず、政府はあくまでも「いわゆる移民政策ではない」と反論し続けました。「いわゆる」と付けることで、国連などの国際機関での移民の定義、すなわち「1年以上にわたる居住国の変更」を示す長期的または恒久移住とは異なるとしたのです。
なんとも姑息です。
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