#SHIFT

優れた道具は使い手のレベルアップにもつながる内田恭子の「日常で触れたプロフェッショナル」(3/4 ページ)

» 2019年03月08日 05時30分 公開
[内田恭子ITmedia]

鍋帽子を知る

 そんな中、最近の挑戦はいかにお肉ホロホロのビーフシチューを作るか、ということ。圧力鍋を使って一応は柔らかくはなるのだけれど、私が目指すところにはまだ届いていない。目指すはグリル満点星のような、口の中でとろけるようなお肉のビーフシチュー。やっぱりママのビーフシチューは格別だよね、幻のビーフシチューだよね、なんて大きく成長した子どもたちに将来言われてみたい。そんなくだらない野望で毎度ビーフシチュー作りに熱く臨んでいる。

 「それがさ、明治屋のいいお肉を使えばあのレベルにいくわけでもないんだよねえ」と、先日も仕事の移動中にスタイリストのひめに向かって語り続ける私。品川から名古屋に向かう3分の1はシチューについて熱く語り続けていた。

 そんな時ひめが提案してくれた鍋帽子。私も初めて知ったのだけれど、分かりやすく言えば、お鍋用の座布団とお布団みたいなもの。火からおろしたばかりの熱々のお鍋を鍋座布団の上に置いて、その上からポットカバーのようなお布団をかぶせる。そうすると煮込み時間が少なくなるのに、お鍋の熱さがじんわり、ゆっくりと中のものに伝わるので、ふっくらとやわらかく、味がぐっとしみ込むという仕組み。

 しかもずっとお鍋の前にいなくても、そのまま食べるまで放っておいたままでいいし、時短だし、エコだし、おいしさアップだし、なんともいいことづくめ。そのルーツを少し辿っていくと、大正時代にまでさかのぼるらしい。昔の人の知恵って素晴らしい。しかもとても人にも環境にも優しくて、効率的で、永遠の知恵。

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