瀧さんが出演している映画『麻雀放浪記2020』は、公開直前でもはや代役などが立てられないなどの理由からそのまま公開するという。また、先ほども触れたように、坂本龍一さんをはじめ著名人も作品の自粛に疑問を呈している。
90年代に生まれた「タレント個人の罪=作品の罪」という常識が崩れつつあるのだ。
例えば、こういうムードの中で、どこか影響力のある企業が、瀧さんが関わった作品の販売や公開の継続をして、こんなことを言ったらどうだろう。
「薬物使用は決して許されることではありません。しかし、当社では、過ちを犯した人でも、反省と更正によって再びチャレンジができるような社会になるべきだとも思っております。また、瀧さんが薬物依存を克服して、社会にその姿を示すことこそが、同じような問題を抱える人の励みにもなると考えております。
以上のことから、当社では瀧さんの出演作品を公開します。自粛することは、瀧さんに刑事罰以上の社会的制裁を与えることとなり結果、瀧さんの更正と社会復帰を妨げるようなことになってしまうからです。瀧さんの出演に不快になられる方もおられると思いますが、そのような方はどうかこの作品ご覧にならないようお願いいたします」
もちろん、こういう時代なので「不謹慎だ!」「犯罪者の作品を出し続けるなんて反社会的だ!」など、クレームを入れる人は一定数いるだろう。しかし、そこに、企業としての「信念」があれば、賛同をしてくれる人は少なくないはずだ。
むしろ、世間から叩かれるのが怖くて、右へならえで「自粛」へ走るような企業は、「薬物依存への理解がない」「不寛容」などと批判されるような風潮もできてくるだろう。
薬物依存は「クサイものにフタ」で社会から排除するのではなく、社会に居場所をつくったままで更正させるべき、という専門家や支援団体の主張が徐々に浸透しているからだ。
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