東映、ピエール瀧出演「麻雀放浪記2020」ノーカットで公開へ 「作品無罪」で自粛ムードに屈さず白石監督「ホッとしている」(2/2 ページ)

» 2019年03月20日 10時44分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]
前のページへ 1|2       

薬物使用の兆候分からず

photo 東映社内に掲示されていた、「麻雀放浪記2020」のポスター

 白石監督は2013年公開の「凶悪」など計5本の映画でピエール瀧氏を起用。同氏には「自分を監督として引き上げてくれた人。男っぷりの良さにほれていた」といい、「20代のころから薬物を使用していると報道されていたが。仕事中はそういう兆候は分からなかった」としている。

 「一緒に何度も映画を創ってきた仲間が罪を犯したことに抑えられない憤りを感じている。瀧さんのスタッフ・ファン・家族がどういう思いをしているか。彼が今後どういう人生を送るかは私も想像できないが、自分の罪を反省し、人としてちゃんと歩いていってほしい」(白石監督)

 同監督は関係者の反応についても言及。「麻雀放浪記2020」の主演俳優である斎藤工さんと事件発覚後に連絡を取ったが、「作品がどうなるのか不安そうだった」とした。また「凶悪」でピエール瀧氏と共演したリリー・フランキー氏からは「あいつは何をやっているんだ」と連絡があったと明かした。

“自粛ムード”に疑問

 強制性交の疑いで2月に逮捕された俳優の新井浩文氏が主演を務めた映画「善悪の屑」が公開中止になるなど、昨今は「出演者が罪を犯すと、映画はお蔵入りになる」という風潮が定着。新井氏やピエール瀧氏の過去の出演作品なども相次いで配信停止になっている。

 東映が「麻雀放浪記2020」の公開を決めた背景には、こうした風潮への疑問もあったといい、多田社長は「『ちょっといきすぎだ』『スタッフや役者さんが総力を挙げて作ったものを没にしていいのか』と疑問を持っていた。東映が当事者になるとは思わなかったが、完全な形で公開するのが配給会社の責任だ」との見解を示し、公開に踏み切ることへの反響については「少々株価が落ちるかな」と笑った。

 白石監督も「(出演者が罪を犯した映画を)上映できないというのは、あくまで特例であってほしい」との意向を語った。

photo 「麻雀放浪記2020」公式Webサイトでは「協議中」としていたが、ノーカットでの公開が決まった
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.