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「あなたの強みは何か?」に、どう答えるか的確に表現すること(3/4 ページ)

» 2019年03月22日 09時40分 公開
[川口雅裕INSIGHT NOW!]
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 第三に、強みは、本人が磨き甲斐を感じるものである。強みと自覚するからには、それを客観的に測ったときのレベルを分かっているだろうし、深さや難しさ、課題も見つかっているのが普通だ。もうこれで十分だと満足しているようなら、おそらくそれは強みではない。勉強すればするほど、自分が知らないことがいかに多いか分かるのと同じで、強みと言えるレベルにあるなら、その未熟さや改善点がいかに多いかが理解できるようになるはずだからである。

 また、強みによって成果を残し、組織に貢献できている実感があるのなら、さらにその強みを磨きたくなるのは当然だ。自らのレベルを客観視し、課題も見えており、磨き甲斐や磨く喜びを感じているなら、それは強みと言えるだろう。

 第四に、強みは、周囲との認識の一致が欠かせない。自分は強みだと思っているが、周囲にはそういう認識がないという状態では、生かそうにもそういう場や役割が与えられない。周囲が強みだと思っているのに、本人にはそういう認識がないという場合では、生かしどころにズレが出てしまい成果につながらない。両者ともに気づいていない強みというものがあれば、実にもったいないことになってしまう。

 つまり、強みはジョハリの窓で言う「開放の窓」にあって初めて、成果や貢献につながっていくのである。メンバー間の深いコミュニケーションを通した十分な相互理解は、互いの強みの発見と活用に欠かせないということになる。

 「差異化」「原則化」されており、「磨き甲斐」を感じ、周囲との「共通認識」があるものを『強み』と呼ぶ。「私の強みは何か?」という重要な問いへの答は、この4点をクリアする必要がある。

 正社員制度や職能資格制度の中でほとんどなされることがなかった問いであり、コモディティ労働者を決め込んでいる人にとっては必要を感じない問いでもあるだろうが、近い将来、この問いが人員配置や育成、評価・処遇の軸になるはずだ。ダイバーシティの目的が「雇用の多様化」から「強みの多様化」の段階に移行し、賃金が「時間」から「能力(強み)」へのリンクを強めるようになるだろうと思われるからである。

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