こんな時代に純喫茶の経営に乗り出した男の「なるほど」な勝算閉店が相次いでるのに(2/5 ページ)

» 2019年03月23日 08時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

退職後に開業

 14年8月、村田さんはそれまで勤めていた会社を辞めることになった。退職後に何をしようかなと思案していた際、これまでぼんやりと「商売になるかなあ」と考えていた喫茶店の家具の販売を手掛けようという気持ちが強まっていったという。

 ある日、近所の喫茶店が閉店すると知った村田さんは、思い切って店主に「閉店したらこの家具はどうするんですか?」と聞いてみた。すると、店主は「ほしいならあげるよ」と言ってくれた。

 店主の言葉を聞いてからの行動は早かった。知り合いが利用しているシェアスペースの一角を格安で「倉庫」として借り受け、トラックを運転して家具を引き取りにいった。ネットショップをオープンする際も、特別に勉強したりノウハウを学んだりしたわけではなく、一般的なネットショップ運営サービスを利用して村田商会を開店した。15年12月のことである。

開店時から好調

 ネットショップの村田商会には、オープン当初から反響があった。村田さんはSNSで純喫茶についての情報発信をしたり、同じ愛好家の友人らと一緒にお店を訪ねたりしていた。そのため、村田商会の存在は自然と口コミで広がっていった。村田さんのビジネスは最近注目されている「小商い」に該当するものといえるが、ビジネスを始める前に、コミュニティーの中で認知されていたことが成功の秘訣だったのかもしれない。

 村田商会のWebサイトでは、取り扱っているテーブルや椅子の写真を更新順に並べているだけでなく、どんな喫茶店で使われていた家具なのかという情報も掲載している。こういった姿勢が「あのお店のテーブルを買いたい」というお客からの注文につながっている。中古の家具というのは実際に使い心地を確かめてから購入したいと考えるお客が多いが、自分が通っていたお店の椅子やテーブルならば、ネットショップで安心して購入できるという側面もある。

 小さなお店を始めようと考えているお客が、まとまった数の椅子やテーブルを注文購入するケースもある。マスク専門店、喫茶店、書店などさまざまなお店で家具が活躍している。

photo お店の外にある商品

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