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“会社員”が消える日――「雇用激減時代」の未来地図自分の仕事は自分で守れ(4/5 ページ)

» 2019年03月28日 11時52分 公開
[大内伸哉ITmedia]

会社員が消えていく

 このように個人が場所や時間の拘束から解放され、自由に働くことが、ICTの発達により可能となっている。しかし、ICTの発達のインパクトは、それにとどまらない。個人の仕事の内容にも、より本質的な変化が起きようとしている。AIやロボットが人間の定型的な仕事を代替していくと、モノづくりにせよ、サービスの提供にせよ、独創性(オリジナリティー)をもった創造性(クリエイティビティ)こそが、AIやロボットによって代替されない人間の労働として価値あるものとなる。それと同時にAI自体が、人間のそうした独創性や創造性を涵養するために利用されるようにもなる。

 総務省は、AIを相互に連携させて、より高い性能を発揮させる「AIネットワーク」を構築し、それをICTでつながった人間が活用して「智のネットワーク」を形成することを提唱している(福田雅樹他編著『AIがつなげる社会――AIネットワーク時代の法・政策』弘文堂も参照)。人間は、その「智のネットワーク」のなかで、新たな知識やスキルを習得して、創造的で独創的な仕事をするようになるのだ。これが、多くの労働者が慣れ親しんできた働き方と異質であることは言うまでもなかろう。

 こうした変革こそが、真の「働き方改革」だ。いま多くの人は、会社に雇われて働いており、それが普通の働き方だと考えている。しかし、今後は、ICTを軸としたエコシステムのなかで、AIやロボットを活用しながら、AIやロボットではうまくこなせない仕事を、ある人はフリーの個人自営業者として、ある人は起業して会社を立ち上げながら、自分の独創性や創造性を発揮して働く時代が来るのだ。これは要するに、会社員が消えていくということだ。

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