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“会社員”が消える日――「雇用激減時代」の未来地図自分の仕事は自分で守れ(3/5 ページ)

» 2019年03月28日 11時52分 公開
[大内伸哉ITmedia]

働き方もデジタルファーストに

 こうした産業構造や就労構造の変化と並び、もう一つ、大きな変化がある。それはICT(情報通信技術)の活用により、私たちの働き方が根本的に変わるかもしれないことだ。行政手続は原則としてペーパーレスで、オンラインで進める、というデジタルファーストを政府は進めようとしているが、働き方もデジタルファーストとなることは十分に予想可能だ。

 実際、民間企業では、ネットでつながりながら働くテレワーク(在宅勤務やサテライトオフィスなどでの勤務)の導入が広がりつつあり、政府もそれを推奨している。さらに、ワーケーションのような、休暇先でテレワークをしながら、仕事以外の時間を自由に過ごすという、ワークとバケーションを融合させた働き方も、デジタル技術を使えば導入は容易だ。VR(Virtual Reality:仮想現実)の技術を使えば、オンラインでのリアルな会議も可能だ。こうした働き方の特徴は、自分の選んだ場所で働けるということだ。

 将来的には、人間のする主たる作業は、端末機器(ノートPC、スマートフォンなど)を使って指示するだけとなるかもしれない。しかも人間と機械のインターフェイスはどんどん改良され、PCへの入力は、キーボードから音声へと変わりつつある。ジェスチャー、さらに思考だけで入力できる技術も開発が進行中だ。これが実現すると、サイバー空間で業務の大半が完結することになる。

 ICTはビジネスモデルも大きく変えつつある。GAFAも、プラットフォーム・ビジネス(ビジネスの基盤を設定するビジネス)を展開して成功した企業だが、同じようなことを仕事のマッチングで行う企業も出てきている。日本でも、ランサーズやクラウドワークスなどがそうしたビジネスを展開する企業だ。そこで仕事を受注している人は、フリーの個人自営業者がほとんどだ。

 これを個人が空いている時間を活用して自らのスキルを他人とシェアする働き方とみると、近年、急成長しているシェアリング・エコノミーとつながる。典型的なシェアリング・エコノミー・ビジネスは、ウーバー・テクノロジーズに代表されるように、遊休資産(自家用車など)を活用してサービスを提供したい人と、そのサービスを利用したい人とを仲介するビジネスだ。仲介するプラットフォーム企業は、スマートフォンやタブレット用のアプリケーション(アプリ)を提供するだけであり、実際にサービスを提供するのは個人だ。こうした個人の多くは、独立した自営業者だ(法的には雇用労働者と評価される可能性はあるが)。

phot テレワークなどによって女性や高齢者を生かそうとしているが……(写真提供:ゲッティイメージズ)

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