お店のミライ

「おもちゃがいっぱいだ!」 子どもが群がる箱から見えたマクドナルドの新戦略期間限定で実施(1/2 ページ)

» 2019年05月08日 05時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

 「あ、おもちゃがいっぱいだ!」「ドラえもんもあるよ!」

 ここは都内にあるマクドナルドの店舗。店内の隅にある小さな箱に3人の子どもが群がっている。中にはさまざまなおもちゃが入っており、子どもたちは箱から次々と取り出して見入っていた。ある子どもが「ママ! 持って帰りたい」と大きな声で母親らしき女性に話しかけたが、女性は「ダメ! 元に戻しなさい」とたしなめていた。

 この箱は、日本マクドナルドが期間限定で設置しているおもちゃの回収ボックスだ。同社は子ども向けの戦略商品としておもちゃとハンバーガーなどが一緒になった「ハッピーセット」を提供している。遊ばなくなったプラスチック製のおもちゃをこの箱で回収し、店舗用トレイとして順次再生している。なお、「回収ボックスはあくまでもおもちゃをリサイクルするためのもの」(広報担当者)なので、持ち去る行為は禁じられている。

photo 日本マクドナルドの業績は好調

 この「ハッピーりぼーん」プロジェクトが初めて開催されたのは、2018年2月23日〜5月6日。全国から集まったおもちゃの数は約127万個で、目標とする100万個を大きく上回った。回収したおもちゃは約10万枚の店舗用トレイとして再生し、18年11月から全国の店舗に順次導入された。標準的なトレイが黒色なのに対し、リサイクルトレイは緑色。「ぼくはハッピーセットのオモチャから、うまれたよ!」というメッセージが刻まれている。

 このプロジェクトが好評だったため、同社は回収時期を3回に増やして再度実施することを決めた。「1年に1回ではなく、もっと頻繁に実施してほしいといったご意見をいただいた」(広報担当者)という。

photo 店内に設置されている箱のイメージ(=リリースより)

「捨てにくい……」の心理を和らげる

 このプロジェクトがもたらす効果は、リサイクルや廃棄物の削減に取り組んでいるという企業姿勢のアピールにとどまらない。「増えすぎたおもちゃを処分したい」という親の悩みを解決し、来店動機を促す仕掛けにもなっているといえる。

 ハッピーセットで提供されるおもちゃは、人気キャラクターとのコラボ商品や、パトロールカーといった乗り物など多岐にわたる。キャンペーン内容は頻繁に変わるので、何度もハッピーセットを注文していると、家の中がたちまちおもちゃだらけになってしまう。

 おもちゃを捨てようとする親を悩ませるのが、「愛着があるから捨てたくない」と反対する子どもの存在だ。しかし、リサイクルして生まれ変わることを伝えれば説得しやすくなる。実際、おもちゃを持ち込んだお客からは「何かの役に立つのなら処分してもいいと子どもも納得してくれた」という声があったという。

 また、子どもへの“教育効果”も期待できる。身近なおもちゃを題材にして、リサイクルの勉強になるというのも親に対するアピールポイントになる。

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