クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
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» 2019年05月13日 06時47分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:マツダの決算 またもや下がった利益率の理由 (5/5)

[池田直渡,ITmedia]
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 さて肝心なのは、もう4気筒エンジンによるダウンサイジングターボではダメだということが分かった段階で、北米向けの高付加価値商品のために何を用意するかだ。

 元々、大排気量志向の強い米国では、4気筒のダウンサイジングターボが歓迎されていたとは言い難い。本来ならV6やV8のユニットが欲しいところだが、これまでそれらの形式で企業平均燃費規制(CAFE)をクリアする方法が確立できていなかった。

 そうした諸問題をクリアし、北米でのブランドイメージを向上させるために、マツダは縦置き直列6気筒のSKYACTIV-XとSKYACTIV-Dをラインアップに加えようとしている。「4気筒は安物」というアメリカ人に対してブランド価値向上を狙うなら6気筒は当然の帰結だ。縦置き6気筒となれば、自ずとFRレイアウトにしなければならないので、シャシーをスモールとラージの2つに分けることになる。デミオ、Mazda3(旧アクセラ)、CX-3と、今年度中に追加されるCX-30がFFのスモールシャシー、CX5、アテンザ、CX-8がFRのラージシャシーを使う。

19年3月度の決算資料より

 マツダは元来、日本、北米、欧州、中国、その他のマーケットバランスがそれぞれほぼ20%とバランスが良かったが、今、北米への依存が加速しつつある。逆にいえば北米でのブランド価値向上に失敗すると非常に厳しい。それは今回の決算から見てもはっきりしている。

 最後にマツダの次年度以降の対策を整理しよう。車両側では、デザイン、パワートレーンの両面でテコ入れを進める。ブランド価値向上につながる6気筒を軸に、FRレイアウトを採用して商品性を高める。今売れ筋であるSUVにCX-5や北米用のCX-9など強みのある商品を持っている点では明るい要素も十分ある。これらが6気筒FR化される数年後には米国の中で、マツダのイメージはかなり変わるのではないかと思う。

 そして、販売店側では、CIと残価の維持向上プロジェクトがどれだけ実を結ぶのかが問われている。値引き販売から価値販売へのシフトだとマツダは強調する。

 筆者の目から見て、マツダが無策で手をこまねいているようには見えない。むしろ打つべき手は着実に打っているのだが、これらの戦略が予定通り進むのかどうか、それはまだ分からない。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う。


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