#SHIFT

終身雇用の“終わり”で「ジョブ無しおじさん」は生き残れるか 城繁幸氏に直撃経団連・トヨタのトップが示唆(3/4 ページ)

» 2019年05月24日 06時30分 公開
[服部良祐ITmedia]

ハードランディングにはならない?

――理屈では理解できても、終身雇用や年功序列を信じてきた中高年へのショックは小さくないのでは。

城: 日本以外の国の企業では年功序列でないのが普通です。「昔頑張っていた人に(多額の)給料をあげる」というやり方が無理になったのは、仕方のないことです。

 でも、勘違いしている人が多いのが、経団連は「(大量に正社員を)解雇する」とは言っていないという点です。実際にはそれほどハードランディングにはならないでしょう。

 彼らが行うのは「長期雇用のメリットを無くす」ということです。今までの(新卒で入社後)10〜20年後に給料が上がり、退職金も大幅に加算される、というやり方が無くなるだけなのです。

 これは小売りや外食といったサービス業に近い。こうした業界は離職率が他業界の2〜3倍に上ります。職人を育てているわけではなく、長く(同じ会社に)勤める意味が無いからです。「人間関係がつまらなくなった」といった理由で辞めていき、離職率が高いのが普通な訳ですね。徐々にそちらに(企業全体も)近づいていくと思う。

 僕はこれが自然だと思います。人間は職場を辞めたりするもの。外食とかだと、50代のおじさんを高校生バイトが教えているのが普通なのです。今までの他業界の会社組織がおかしかったのかもしれません。

 (年功序列に)どっぷりつかってきた人は「えーっ」と思うかもしれませんが、(他の業界で)50代には50代にふさわしいロールモデルがあるのに、それを果たせていないのは醜い、と僕は思います。

――年功序列が無くなっていくと、人材業界でかつて常識とされていた「35歳転職限界説」なども消滅すると。

城: 職務給で人材を判断するジョブ型の概念が浸透すれば、年齢も関係なく転職も可能になりますね。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.