――財界としても、危機感を抑えきれなくなったと。
城: 中西会長の個人的な性格もあったと思います。今まで経団連は存在感を出さない方が良いという感じでしたが、中西会長はその辺がサバサバしている。
ただ、財界としての危機感はあると思いますね。一番出ているのは採用です。今まで外資や新興企業が抜け駆けして大学2〜3年に内定を出しても、一番優秀な学生は自分たちが採れると思っていた。
大企業が最も採用しなくてはいけないのは1〜2人、金の卵である経営陣候補となる新卒です。でも、そういった人材が採れなくなってきた。彼らは1年生の時からインターンシップに参加して、その後シンガポールの外資系企業とかサイバーエージェントとかに就職してしまうわけです。
――はた目からは、財界が急なハンドルを切っているようにも見えます。
城: 誤解されていますが、来年の新卒(一括)採用が無くなるかと言うとそういう訳ではありません。2極化するということです。優秀で熱心な学生を企業は幹部候補として(一括でなく)採る。そうでない学生は新卒一括採用になるでしょう。優秀層は一括採用でない方向に動いています。
――既に社会に出たサラリーマンもキャリアプランの大幅な変更を余儀なくされる可能性があります。SNSなどでは、待遇の悪化など中高年からの反発があり、若年層からも一定の懸念があるようですが。
若者の反発については早いうちから「(終身雇用のような)そんなものはない」と、気付けていいのかもしれないと思いますね。
また、メガバンクなど一部の大企業でのリストラを見ると、業務内容をスクリーニングした上で、本社のホワイトカラーから余剰人員をあぶり出し、成長部門に再配属しているようです。そこでは年功給をはぎ取り、職務給や役割給に変えていくでしょう。(待遇が)大幅に下がるのは不可避でしょうね。
それに対する拒否感はあるでしょうが、時代の流れです。自分の仕事に価値が無いのだから、(与えられる)新たな仕事の方に値札が付いてしまうのは仕方のないことです。
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