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終身雇用の“終わり”で「ジョブ無しおじさん」は生き残れるか 城繁幸氏に直撃経団連・トヨタのトップが示唆(4/4 ページ)

» 2019年05月24日 06時30分 公開
[服部良祐ITmedia]
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そもそも「明確なジョブやスキル」を持つ人は少ない?

――一方で、特に会社から与えられた業務をひたすらこなして年功給をもらってきた人は、「自分には転職市場で評価される、特筆するようなジョブはない」と心配するかもしれません。

城: サラリーマンも二極化していきます。会社に言われたことばかりやってきた人と、自分のキャリアの中で(得意スキルを)伸ばす努力をしてきた人とでは、差がついていると思います。

 ただ、そうした「ジョブが無いおじさん」ですが、そもそも日本企業で働いてきた人で、「自分はこれ(のジョブ)だ!」と言える人はなかなかいないのではないでしょうか。いろんな業務をやってきたからです。

 でも、逆に言えば(ジョブ型の人事評価が一般的な)外資企業ではないので、強いライバルもさほどいない訳です。転職コンサルタントと、それまでのキャリアの“棚卸し”作業をすれば、何かしら引き合いはあるでしょう。心配することはあまり無い。

終身雇用は伝統でも何でもない

――そうすると、「食っていけるかどうか」ではさほど困らなくても、年功序列で部課長になれていた上の世代にとっては感情的な問題の方が大きい気もします

城: プライドの部分は確かにあります。価値観の転換は迫られますが、その辺は仕方のないことでしょうね。

 そもそも終身雇用は日本の伝統でも何でもありません。高度経済成長期の物です。この50年くらいの“はやりもの”が無くなるというだけ。僕は経団連が自然な方向に方向転換したと思います。

 むしろ、トップが「終身雇用は日本の柱だ、けしからん」などと言っている会社の社員は、特に危機感を抱いた方がいいと思いますね。うちの会社は大丈夫か、と。同業他社が舵を切って新陳代謝を促していくのに、ずーっと同じ風にやっていくのだから。

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