さまざまな業界を、ITを活用して変革していこうという「◯◯テック」が話題だ。その中でも、非常に規模が大きく注目されている業界がある。不動産テックだ。
このジャンルでは、起業家向けのコワーキングスペースを提供するWeWorkが有名だろう。2018年11月にはソフトバンクから30億ドルの出資を受け、時価総額は470億ドル(5兆円)とも言われている。ほかにも上場を控えるAirbnbも290億ドル超といわれており、このジャンルの巨大さが分かる。
WeWorkを筆頭に、不動産テック業界にはユニコーン(10億ドル企業)級の企業が続々誕生している。中でも、不動産売買にITを持ち込んだ4社が巨大だ。Zillow Groupが86億ドル、Opendoorが37億ドル規模(未上場)、Redfinが14億ドル、Compassが44億ドル規模(未上場)。この4社は、ハイテク大手の「GAFA」になぞらえて「ZORC」とも呼ばれている。
「各社は、ITをマーケットプレイスだけに使っていたところから、実業に入ってきている」。そう話すのは、国内のテック企業にシード投資を行うベンチャーキャピタル、Coral Capitalの創業パートナー澤山陽平氏だ。
ZORC各社は、米国の住居の売買を事業の中心としているが、当初は売り手と買い手をマッチングするマーケットプレイスがメインだった。ところが、売り手が持ってきた物件を自らが買い取ったり、仲介したりする領域に進出し始めている。
Opendoorは、アルゴリズムを活用して不動産の価格を査定し、直接買い取ってしまうというモデルで急成長した。仲介業者の選定、査定、購入候補者の内見、そして購入という平均3カ月程度かかっていたプロセスを、ITを活用して一気に短縮した。これがiBuyerという仕組みだ。
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