GAFAの不動産テック版「ZORC」とは何か?(3/3 ページ)

» 2019年06月05日 07時20分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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すむたす、カナリー、日本でも動き出す不動産テック

 澤山氏は、不動産テックではB2C領域が盛り上がっていると見る。「SaaSの流れでB2Bから始まった不動産テックだが、日本でもこのあと大きな動きがあるのはB2Cの領域。純粋にB2Bでデータを活用した企業は今後苦しくなっていくだろう。B2Cジャンルの企業が大量のデータを扱うようになっていくからだ」(澤山氏)

Coral Capitalが示した不動産テックのカオスマップ。マーケットプレイスを営む企業が多いが、実需系に巨大企業が集中している

 国内でも不動産テックが動き始めている。Coral Capitalが出資するすむたす(東京都目黒区)も好調だ。Opendoorをベンチマークとし、国内で短期間に不動産を査定し買い取るiBuyer事業を展開している。すでに買い取り総額は400億円を超えたと、すむたすの角高広社長は話す。

 賃貸物件の内見をスマホアプリで簡単に行えるサービス、カナリーを展開するBluAge(東京都中央区)は、非効率な不動産業界を変革しようとしている。「不動産取引は、フリークエンシー(利用頻度)が低いので、利用者が合理的な判断をできない。なんとなく名前を知っているサービスを使ってしまう。リピートビジネスではなくスポットなので、情報の非対称性が生まれているという課題がある」(佐々木拓輝社長)

 国内でも動き始めた不動産テック。しかし、一気に大きな黒船がやってくる可能性もある。ソフトバンクだ。

 WeWorkはソフトバンク出資後、国内でも事業を展開。都内で急速にコワーキングスペースを増やし、都内だけですでに16カ所が稼働している。ソフトバンクは、ビジョンファンドが出資した海外のサービスを、国内では合弁会社という形で展開を進めている。そして、先のOpendoorには4億ドル、Compassには4.5億ドル、ソフトバンクビジョンファンドが出資している。

 日本の不動産取引の市場規模(取引金額)は約2兆円といわれている。巨大な市場ながら、その仕組みや商慣習は古くからのもので、非効率な部分や情報の非対称性が数多く残ったままだ。現在の不動産テックの躍進は、ほとんどが米国でのことだが、国内での変化も遠くはなさそうだ。

不動産テックへの投資額は年々増加し、2018年は11月までで44億ドル(約4700億円)に達している
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