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» 2019年06月19日 10時00分 公開

政府の狙いは何だったのか:働き方改革で得する人、損する人 (1/3)

政府が主導したことから、すっかり定着した感がある「働き方改革」。この改革で得するのは誰なのか……。

[安達裕哉,Books&Apps]

この記事はティネクトのオウンドメディア「Books&Apps」より転載、編集しています。


 政府が主導したことから、「働き方改革」というキーワードは、すっかり定着した感がある。真面目に取り上げられるよりは、酒のさかなとして話題に上る方が多いかもしれないが、ともかく、話題にはなる。そして、話題の中心はほとんどが「残業」だ。

 この「働き方改革」について、私は興味深く成り行きを注視していた。その理由は「働き方改革で、誰が得して、誰が損したのか?」を知りたかったからだ。

働き方改革で損をしたのは

 先日、ある大企業においてヒアリングをしていた時のこと。数人の若手社員とベテラン社員の間で、こんな会話が交わされていた。

先輩、最近はうちも残業が減りましたね。

そうだな。

「残業減らすなんて不可能」っていろいろな人が言ってましたけど、やればできる、ってことですよね。

そうだな。

何で「できない」なんていう人が多かったんですかね。

分かってんだろw

あー、「できない」じゃなくて、「やりたくない」だったって話ですか?

そうそう。

 みんなうなずいている。

Photo (写真提供:ゲッティイメージズ)

私、いまだだによく分からないんですが、「残業減らすのに反対」って、どんな思想の持ち主なんですかね。

いや、それも分かってんだろ。

「残業代がほしい」ってやつですか? ウチだったら、給料それなりにもらってるじゃないですか。ねえ?

まあ、それもあるだろうな。あるいは「早く帰ってもやることない」っていうやつもいるだろうし……」

他にもあるんですか?

残業を減らすためには、何をしなけりゃならない?

「えー……? 仕事を早くやらないといけない、ですか?

うんうん。そうするとどうなる?

……?

 ベテランの社員はオフィスの方を指さす。

ほら、Oさんの評価はどうなった?

あ、ああ、そういうことですか。

そうそう。残業多い人の評価が低くなったろう?

一時期、「レスポンスが悪い」って、お客さんからOさんへのクレームもやばかったですよね。

あの人、仕事遅いからな。残業代も稼げなくなって、クレームもらって、評価も下がって、散々だってことだよ。

ああ、それで残業削減に反対してたんですか。

まあ、仕事が遅いやつには、厳しい時代になったってことだ。

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