会社の数字〜注目企業を徹底分析〜

見知らぬ客同士に会話させたら店員の評価UP!? 立ち飲みチェーンの狙いとはユニークな人事評価制度の全容とは(5/6 ページ)

» 2019年06月24日 05時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

令和時代に生き抜くビジネスモデルとは

 このように、焼きとん大黒におけるビジネスモデルを中心に解説してきたが、令和時代に生き残るために必要なことは何だろうか。

 外食に慣れた消費者の目はどんどん厳しくなってきている。商品やサービスの質が低かったり、店舗の清潔さが保たれていなかったりするのは論外だ。それらを高いレベルに保ったうえで、どんな価値を提供できるかどうかが重要になる。

 焼きとん大黒の場合は、お客との接点を意図的に増やし、客と従業員のコミュニティーをつくることで差別化を図ろうとしている。焼きとん大黒は新規客も常連客も適度に共存できる“居心地の良いスナック”のようである。

 また、定量的にカウントできる「客との接点」「客同士の会話をつないだ数」を人事評価に組み込んだことで、接客に温かみが感じられる仕掛けを構築している点も、新時代のチェーン店の可能性を感じさせる。一般的に属人性が高いサービスを提供する店はチェーン展開が難しいとされているが、独自の数値目標で管理することで、多店舗展開を狙うという試みはユニークだ。

 大谷社長は会社の成長はもちろん志向しているが、他のチェーンのような急激な店舗増は目指していないという。焼きとん大黒の“緩やかな成長”はどこまで続くだろうか。

photo 店舗外観

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