このように、焼きとん大黒におけるビジネスモデルを中心に解説してきたが、令和時代に生き残るために必要なことは何だろうか。
外食に慣れた消費者の目はどんどん厳しくなってきている。商品やサービスの質が低かったり、店舗の清潔さが保たれていなかったりするのは論外だ。それらを高いレベルに保ったうえで、どんな価値を提供できるかどうかが重要になる。
焼きとん大黒の場合は、お客との接点を意図的に増やし、客と従業員のコミュニティーをつくることで差別化を図ろうとしている。焼きとん大黒は新規客も常連客も適度に共存できる“居心地の良いスナック”のようである。
また、定量的にカウントできる「客との接点」「客同士の会話をつないだ数」を人事評価に組み込んだことで、接客に温かみが感じられる仕掛けを構築している点も、新時代のチェーン店の可能性を感じさせる。一般的に属人性が高いサービスを提供する店はチェーン展開が難しいとされているが、独自の数値目標で管理することで、多店舗展開を狙うという試みはユニークだ。
大谷社長は会社の成長はもちろん志向しているが、他のチェーンのような急激な店舗増は目指していないという。焼きとん大黒の“緩やかな成長”はどこまで続くだろうか。
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