今後、クックパッドはどのような事業展開を目指しているのだろうか。村上副部長は「大手小売りチェーンからPOSデータを直接提供してもらうプロジェクトを計画しています」と説明する。あるユーザーが「どんな具材を買って、どんなレシピを検索しているのか」ということは分かってきた。そこに、スーパーのPOSデータを加えることで、より幅広い購買行動を把握しようという狙いだ。
あるスーパーでいつも買い物をする主婦がいたとする。一般的に、しょうゆは3カ月で使い切るとされている。POSデータからしょうゆを買った日を把握できれば、新しく購入するタイミングで広告を出せる。そんなイメージだという。分析の精度が向上すれば、冷蔵庫の中にあるしょうゆやドレッシングを使い切るタイミングをかなり正確に把握できるようになりそうだ。
この仕組みは、小売り側にとってもメリットがある。小売りチェーンは、自社独自のアプリを運営していることが多い。アプリ上でクーポンを発行したり、セールの情報を配信したりしている。しかし、村上副部長によると多くのユーザーがアプリを利用しているにもかかわらず、広告などによるマネタイズが必ずしもうまくできているわけではないという。
クックパッドは普段から食品メーカーと一緒にユーザー像の把握や販促の立案に取り組んでいるので、メーカーサイドがどのような広告出稿ニーズを持っているか把握している。そこで、クックパッドがメーカーと小売りの中間に立って、適切な広告出稿を手伝うというわけだ。「御社のこの商品を売りたいのなら、●●スーパーではなく、××スーパーのアプリに広告を出したほうが効果的ですよ」と提案するといったことが想定される。
このようにクックパッドは自社でため込んだデータを提供するだけでなく、外部のデータと融合させ、新しいビジネスを生み出そうとしている。ビッグデータの活用という観点で考えると、令和時代の新しいビジネス像なのかもしれない。
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