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会社を辞める本当の理由は? 「離職招く要因」見つける新サービス“やりがい”よりも重視すべきは……(2/2 ページ)

» 2019年07月22日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]
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ハイジーンファクターを12要素に分類

 新サービスの発表会で、OKANの沢木恵太社長は「“やりがい”などの高次的欲求を満たすことに偏重せず、根底にある基本的欲求も含めた両方に投資が必要。一方で、人によって重視する要素は異なるため、難しいことでもある」と指摘した。

 ただ、離職理由の大部分をハイジーンファクターが占めている事実から、同社は「離職対策はハイジーンファクターを対象に実施した方が効果的」と判断。「“働き続けたい人が働けなくなる”ことを防ぐ」(沢木社長)ためのサービス開発に着手した。

 同社はオフィスおかんの導入企業を通して、「離職」に対する人事部門の悩みを聞いてきたという。「離職の原因が分からず対策が打てない」「部署ごと、店舗ごとの対策ができない」「従業員満足度は高いはずなのに突然の離職が発生する」「施策の効果が分からない」――。こうした問題の解決をサポートするツールとして打ち出すのが、ハイジーンファクターに特化した調査・分析サービス「ハイジ」だ。

 ハイジでは、ハイジーンファクターを具体的に落とし込んだ項目として、以下の12要素を提示。

  • 執務環境
  • 適正な労働時間
  • フィジカルヘルス
  • リフレッシュ環境
  • 休暇のとりやすさ
  • メンタルヘルス
  • チームワーク
  • 多様な働き方に関する制度の充実
  • 家庭やプライベートの充実
  • 社内の雰囲気
  • 多様な働き方に関する周囲の理解
  • 育児家事・介護など生活負担の軽減

 従業員が月1回のアンケート調査に回答し、その結果をもとに、12要素それぞれの状態を数値化する。部署や拠点、年齢などに応じて分析した結果も表示できる。数値が高いほど、手を打つ優先度が高い要素となる。

photo 「ハイジ」のデモ画面。従業員が月1回のアンケートに回答する
photo 分析結果の例。フィジカルヘルスやメンタルヘルスの対策優先度が高い

 正式リリース前のβ版では、50社以上から導入の問い合わせがあり、離職率が高いとされる小売・サービス業が約20%、製造業が約15%を占めたという。β版の導入結果は、企業によって差が表れた。離職防止策が比較的うまくいっている企業では緊急性の高い項目はなく、要経過観察が1項目だった一方、離職の増加に悩む企業では2項目で緊急性が高く、7項目が要経過観察となった。

 利用料金は1人あたり月額500円(基本プラン)。店舗や拠点の数が多い小売・サービス業と製造業を主なターゲットとし、2020年7月までに160社の導入を目指すという。

 仕事をする上で重要視する要素や欠かせない条件は人によって異なるが、それに対して自社の傾向を分析し、より働きやすくするための対策を講じることは、人材不足や働き方改革が経営課題となる中で有効な取り組みだろう。OKANのように、HRの分野で新たな課題に注目する動きはまだまだ広がりそうだ。

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