サグラダファミリアは3000円、日本のお寺は400円 日本は安い旅行先なのか?(2/4 ページ)

» 2019年08月19日 12時50分 公開
[斎藤健二ITmedia]

サグラダファミリアは3000円。でも日本のお寺は400円

 日本の観光資産として重要な、お寺などの入場料は、適切な価格設定がされておらず、機会損失となっている。

 「安いという認識がない。サグラダファミリアは入場料が3000円以上だが、日本のお寺は400円、500円。日本は量を求める方向に舵(かじ)を切っているが、マネタイズができていない」(成瀬氏)

ベンチャーキャピタルのCoral Capitalのイベントで登壇したON THE TRIPの成瀬氏

 同社は、美術館の入り口にあるようなオーディオガイドを製作し、スマホにダウンロードして利用できる仕組みを提供している。新たなビジネスモデルとして取り組んでいるのが、無料でオーディオガイドを製作し、利用者にも無料で提供するモデルだ。その分、入館料を値上げし、値上げ分を施設側とシェアする。

 小豆島にある妖怪美術館では、同社がオーディオガイドを製作。それに伴って美術館の導線を再設計し、ブランドロゴの変更などCI(コーポレートアイデンティティ)も手掛けた。これまで2000円だった入館料を2900円に値上げ。入館者数は3倍以上に増加し、売り上げは11倍以上に増加したという。

 「入館料がなぜこの価格なのか? と聞くと、もう20年この金額でやっているという言う。ロジックがなく、横並び意識が高い」と成瀬氏は、観光施設の価格設定の現状を話す。

ON THE TRIPのビジネスモデルの一つが、値上げした入館料の部分をシェアするモデルだ

 適切な価格設定をすることで売り上げを増やすことが、質の向上にもつながる。「売り上げが小さいと設備投資ができず、質が下がってしまう。関西のお寺では、去年の台風でけっこう屋根が飛んでしまっている。でも直すのに数億円規模の費用がかかる。お金がかけられないので、そのままになっていたりする」(成瀬氏)

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