クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
連載
» 2019年09月02日 07時00分 公開

トヨタとスズキ 資本提携の構図池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/5 ページ)

[池田直渡,ITmedia]

 さらに資本の部分でも悩みはある。先に述べた通り、作っても作ってもクルマが足りないインドでは、新工場をどの程度の速さで拡充していくかが、シェアの奪い合いを決める最も重要な要素だ。筆者の勝手な見立てだが、例えばトヨタとマツダが北米アラバマ工場を共同設立したような枠組みを、トヨタとスズキ間でも行えるとしたら大きなアドバンテージになる。

 トヨタは、すでにインドに車両生産工場とパワートレイン系を生産する2つの拠点を持っているが、場合によってはスズキと合弁で新工場の設立まで話が進むのではないかと、筆者は想像する。もちろんインド国内の需要を満たすのが第一目標だが、もう一つ重要な役割がある。地理的にアフリカへのアクセスに優れたロケーションを生かし、インドでの需要が一段落した暁には、アフリカ輸出の基地として機能させたいと、トヨタとスズキは考えている。つまり次世代のインドに加え、次々世代のアフリカまでがスコープに入った事業展開を狙っているのだ。

 一方でスズキとしては、40年かけて信頼を築いてきたインドの投資家との関係性もある。スズキのインド法人はインド政府および現地資本との合弁だ。トヨタとスズキが大きな目標に向かって本気で最速の投資を始めれば、現地資本がそのペースに着いていけない可能性は高い。実はすでに前例があり、スズキはエンジン製造会社を切り離して新たに100%子会社として立ち上げ、マルチ・スズキ・インディア社の資本比率を守ったことがある。それこそがグジャラートのスズキ・モーター・グジャラート社である。日本側だけで増資を断行すれば、インド側の資本が薄まってしまう。だからといってインド側の足並みがそろうのを待っていれば、他社にシェアを奪われる。そこをどうやってハンドリングしてみせるかが、スズキの手腕ということになるだろう。

 当然中長期的にはEVの時代もやってくる。CASE(Connected:つながる、Autonomous:自律走行、Shared:共有、Electric:電動)も控えている。特に自律走行=自動運転の部分は、協業の意味が大きいだろう。それらを単独で、競合に遅れを取らずに開発していくのはもう無理な時代になった。個社ごとに独自技術を開発していては、資金的にも人的にもリソースがいくらあっても足りない。

 だからトヨタの豊田章男社長は「競争と協調の時代」を力説し、そのための仲間づくりがトヨタアライアンスであり、ダイハツ、スバル、マツダと並んでスズキも、このアライアンスの中で戦っていく覚悟を固めたということになる。

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