クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
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» 2019年09月02日 07時00分 公開

トヨタとスズキ 資本提携の構図池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/5 ページ)

[池田直渡,ITmedia]
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資本の形

 さて、提携の内容に再び戻る。今回の提携内容の中で特筆すべきことがひとつある。提携に際してトヨタがスズキの第三者割当により、発行済株式の4.94%(960億円)を取得したことは驚くに値しない。トヨタは今旺盛にさまざまなジャンルで資本提供を行っており、額こそ大きいものの、数あるうちの一つでしかない。しかし、今回スズキは市場買付によってトヨタの株式を480億円取得することになっている。

 トヨタが提携に際して自社株式所有を認めたのは、マツダと提携した時に次いで、トヨタ史上2度目のことである。ちなみにマツダの時は、トヨタは自己株式を500億円割り当て、マツダは第三者割当増資を500億円割り当てて、相互に同額の株式の持ち合いを行った。

 株式の相互保有は、相手に自社の議決権の一部を認めるもので、ただの約束と重みが違う。逆にいえばそれだけの重みのある提携内容を進めていくということだ。マツダの場合はアラバマ工場の共同設立がその中心にあった。

 そこから想像すれば、やはりスズキとの提携の本丸も、インドでの工場共同設立にあるのではないか。マツダの時は提携と同時に発表された共同工場設立が、今回まだ発表されていないのはなぜかと思わないでもないが、それはリリースの末尾に置かれた一文がヒントになる。「これらの株式取得は、海外の競争当局の承認が得られ次第実施する予定です」。つまりインド当局の判断待ちということだろう。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う。


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