こうした支持層の偏りはタピオカブームにどのような影響を与えたのだろうか。いちよし経済研究所の主席研究員、鮫島誠一郎さんは「おじさんが参入しなかったのがむしろタピオカのブーム維持には良かった」とみる。「かわいい見た目といったインスタ映え、それに600円くらいの高校生くらいでも手の届く価格帯が、若い女性向けにタピオカが成功した理由」(鮫島さん)。
「うまい・安い」を優先しがちな上の世代の男性とは、そもそも食べ物に求める優先順位が違い、そういった中高年男性層は一度試しで買うことはあっても継続しにくい、とみる。
鮫島さんは「今冬を越えるかは分からないが、タピオカブームはしばらく続くだろう」と分析。「パンケーキブームがそうだったように、いずれ人気の店以外はブーム終焉で消えることはあるものの、ある程度は『定番化』するだろう」とみる。
ただ、ちょっと慎重な意見も無いわけではない。とある大手飲料メーカーの担当者は「タピオカのブームは今がピークではないか。うちでは普通、ある程度認知度の高いブランドに関しては、新コンセプトの商品発売やキャンペーンなどで間口の拡大に取り組むもの。(タピオカは)購入層に特に変化が無く、路面店もコンビニも若い女性客が中心のため、間口の拡大が課題だろう」と分析する。一過性のブームを仕掛けるだけでなく、定番ブランドとして売れる商品を打ち出したいメーカーとの戦略の違いもあるようだ。
結果的に「10〜20代女性」という狭いターゲティングで一定のブームを形成してきたと言えそうなタピオカ。供給側が女性客に飽きられずにこのスタンスをどこまで維持できるか、もしくは「裾野の拡大」に舵を切るのか、注目される。
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