定食チェーン・大戸屋の店内で従業員が商品のプリンを口に含む、ズボンを脱ぐなど不適切な動画がSNSに投稿された問題。運営会社の大戸屋ホールディングスは3月12日に一部店舗を除いて一斉休業し、従業員の再教育と店舗清掃を行うと表明した。19年3月期の連結経常利益を従来予想から1億円下方修正、役員報酬も減額するとも発表した。
最近、こうした飲食店などで従業員が撮影した不適切な動画や画像が、SNSに投稿されて炎上する動きが相次ぎ、「バイトテロ」などと呼ばれている。以前からこうした問題は頻発していたものの、上場企業が業績予想を修正したり一斉休業に至ったりするケースは異例だ。
こうした炎上問題を巡っては、マスコミやネットメディアに登場する「識者」の根拠のない印象論を元に、当事者の企業や従業員を責めるだけの言説も少なからず出回っている。繰り返される「バイトテロ」の原因と真の対応策について、SNS分析を通じて企業の炎上対策を手掛ける専門家たちに聞いた。
まず、こうした投稿がSNS上で話題となり炎上するにはどのようなメカニズムをたどるのか。SNS分析を手掛ける調査会社、ワイズワークスプロジェクト(東京都中央区)に、今回の大戸屋の事件と、2月にくら寿司の店舗内でごみ箱に投げ入れた魚の切り身をまな板に置く動画がやはりSNSで炎上した2ケースについて、各チェーンの話題に言及したTwitterの書き込み数などの推移を分析・比較してもらった。
同社の武田直樹社長によると、こうしたSNS上での炎上の過程は「メディアでの露出」→「エンゲージメント」→「つぶやき(Twitterなど)」という順番を一般的に取るという。
不適切動画に気付いたメディアが事件を掲載すると、その記事に対してシェアや「いいね」「リツイート」といった共感のアクションが取られる。これがエンゲージメントだ。そのエンゲージメントを見て、メディアを直接見ていなかった人も事件を知って「あの店行きたくないよね」などとTwitterなどでつぶやくようになり、問題が延焼していくという。
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