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» 2019年03月11日 07時30分 公開

「バイトテロ」が繰り返される真の理由 大戸屋一斉休業で問う企業・アルバイトたたきの欺瞞(4/4 ページ)

[服部良祐,ITmedia]
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「君の将来が終わる」SNSの危険性、リアルに教育を

 企業によっては、アルバイトに就業時のスマホ使用の規制やSNSの制限などを課している職場も少なくない。ただ、武田社長は「“テロ”と言うとそもそも意図して暴力的な行動をとること。これら(バイトテロ)が労働環境にへきえきしたり、店をつぶしてやりたいと思って行われているのならばテロだが、私たちから見れば単なる事故に過ぎない」と指摘。「敵意を持った者に対しては防ぎようもあるが、考えもせず遊び半分に行われた行為に企業はどれだけ注意喚起できるのか。そういった物を監視するには一定規模のコストがかかるが、(人手不足などで)苦しい飲食店には難しいだろう」。

 特に武田社長が問題視するのは大人の正社員より、よく「バイトテロ」の当事者とされる大学生・高校生などの若いアルバイトだ。「よく識者が『損害賠償の怖さを教えなくては』などと指摘しているが、若者はその怖さを実体験として分かっていない。アルバイトに入るときに、損害賠償の可能性がある点を(店側から)説明されても、恐らく自分の身に関係あることとして捉えていない」。

 企業側の指導より武田社長が効果を期待するのが、就学時に学校や家庭で受けるITリテラシーの教育だ。例えば現在、東京都教育委員会は情報教育の一環として「SNS東京ノート」という冊子を学校に配布している。ただ、小学校5〜6年向け冊子をひもとくと、SNS上でのいじめ対策には比較的ページ数が割かれている反面、SNS上での炎上ケースに言及している「不適切な写真をアップしない」といった記述は2ページ程度にとどまる。

photo 東京都教委の「SNS学校ノート3」。写真アップの危険性に言及した部分
photo 東京都教委の「SNS学校ノート3」。写真アップの危険性に言及した部分

 「火や刃物の危なさについて子どもは実体験を通じて学ぶ。一方、SNSの使い方に関しては、そうした実体験型の教育が乏しい」(武田社長)。特に、損害賠償の危険性を訴えるより、子どもに対しては「炎上した情報はネット上に残って君たちに一生付きまとう。将来なりたい職業に就けなくなるよ」などと警鐘を鳴らした方が現実的と考える。

 「実は一番かわいそうなのはある意味、(炎上させた)そのバイト個人なのかもしれない。その子の生涯が終わってしまう可能性がある」(武田社長)。ネットメディアやテレビのワイドショーなどで安易な“悪者探し”が拡大し、延焼を招いている感すらある一連の「バイトテロ」。問題の本質を見失わず、そもそも軽率なSNS投稿をしようと思わせないITリテラシー教育の徹底が社会に求められているのかもしれない。

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