ワイズワークスプロジェクトの分析によると、くら寿司の炎上事案ではまさにこのメカニズムが働いてしまった形で、発生前の1月に比べて2月のTwitterでのツイート数は約3.3倍と急増した。
一方、大戸屋はメディアでの露出頻度はくら寿司と同規模だったにもかかわらず、問題が発生した2月のツイート数は発生前の1月と比べ1.6倍しか増えなかった。武田社長は、もともと大戸屋がくら寿司よりSNS上でつぶやかれていなかった点に加え、エンゲージメントとつぶやきの数が大差ない点に着目する。
「メディアを直接見た一般人が『大変だったよね』と反響しただけで終わっている」として、エンゲージメントの過程で実際のつぶやきへとさほど拡散しなかった可能性を指摘する。「ツイートの数量をみると、他社と比較しても炎上事案としてはそこまでの規模でもなかった」(武田社長)。
全店休業や役員の責任追及にまで発展した反面、実はSNS上でさほど「炎上」していなかった大戸屋のケース。一般社団法人・SNSエキスパート協会の代表理事で、企業へのSNS炎上対策のアドバイスも手掛ける後藤真理恵さんは「大戸屋は対応が非常に早く、問題発生後はSNSでの発信を止めていい訳もせず、沈黙した点が評価できる」と話す。
一方で自社のWebサイトではおわびや調査結果の報告、再発防止の方針など文書や動画でこまめに発信している点も、適切な対応だったとみる。「能動的にアピールしている点が外から見て分かりやすい。従業員の処罰だけでなく、役員報酬を減らして企業が責任を取る姿勢を見せている点も戦略的で優等生的だ」(後藤さん)。
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