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» 2019年09月12日 20時47分 公開

SBGの孫会長も後押し:ヤフー、ZOZO買収でEC強化 「国内ナンバーワンの悲願にようやく手が届く」

[ITmedia]

 「国内ECナンバーワンは、予てからヤフーの悲願だ。楽天やAmazonが強力なライバルだという声もあるが、ZOZOとの連携で現実的に手が届くものになるのではないか」――ヤフーの川邊健太郎社長は9月12日、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOの買収について、同日開いた記者会見でこう説明した。

photo ヤフーの川邊健太郎社長(左)、ZOZO新社長の澤田宏太郎氏(中央)、ZOZO前社長の前澤友作氏(右)

 ヤフーは12日朝にZOZOを買収すると発表。10月上旬にもTOB(株式公開買い付け)を実施し、連結子会社化する方針を明らかにしている。買収額は約4000億円。同社にとっては大きな買い物だが、悲願である「国内ECナンバーワン」の達成に必要なピースだったという。

 ヤフーは2013年からEC事業を強化しており、近年は特に「広告事業に次ぐ2本目の柱」を目指して事業拡大に力を入れていた。今秋には新たなECサイト「PayPayモール」をオープンする予定だが、ここに女性を中心とした若年層が多く利用するZOZOTOWNを出店させることで、相互送客を進め、両社の顧客基盤を拡大する狙いがあるという。

 ヤフーの川邊社長は「ヤフーとZOZOのユーザーは補完的な属性を持っており、さまざまなシナジーを期待できる。両社の連携で、購入者数も取扱高も営業利益も“爆増”するのではないか。ヤフーには、過去に旅行サービス『一休』をヤフーとのシナジーで伸ばしてきた実績がある。そのノウハウを生かして、ZOZOTOWNも成長させていきたい」と話す。

photo ヤフーとZOZOの連携による4つのポイント

 ヤフーは10月1日に持ち株会社体制に移行し、Zホールディングスに社名を変更するが、買収後、ZOZOはZホールディングス傘下企業として上場を維持する予定。ZOZOTOWNは引き続きZOZOの事業として運営し、PayPayモールへの出店は「ZOZOTOWNのヤフー支店を作るようなイメージになる」(同社)という。今後、ZOZOTOWNで利用できる全てのブランドやショップに対し、PayPayモールへの出店を順次交渉していくとした。

 記者会見では親子上場問題への指摘も出たが、川邊社長は「少数株主を含め、全ての株主の視点に立ち、ZOZOの事業をいかに最大化するかという観点で取り組みたい」と返答するにとどめた。

ZOZOの経営は「ワンマン」「トップダウン」から脱却へ

 一方、ZOZONの前社長である前澤友作氏は、「ZOZOにはいくつか課題があった」と、これまでの経営を振り返る。前澤氏は、自身が得意とする「自分の感性を生かしたワンマン経営」で事業を伸ばしてきたが、それにより現場に十分な権限や裁量を与えられない部分もあったという。

 「新社長の澤田は、私とは真逆でロジカルな経営戦略を得意としている。感性の部分は現場が彼をサポートするだろう。今後安定的に事業を成長させるには、そうしたチームワークや総合的な組織力が問われる。今が、ZOZOの経営が抜本的に変わるタイミングだったと考えている」(前澤氏)

 前澤氏自身は完全に経営から退き、後のことは澤田氏に任せるという。自身の今後については「月渡航とは別に、一度宇宙に行く予定」であることを明らかにした他、「まだ何も決まっていないが、もう一度事業をゼロから作ることに挑戦したいと考えている」と事業家として新しいスタートを切る姿勢を見せた。

 ZOZOの今後を任された澤田新社長は「今後はZOZOをトップダウンから、社員一人一人の力を生かす組織に変えていく」とコメント。前澤氏の強烈なリーダーシップに振り回される裏で固めてきた組織としての足場を武器に、引き続き事業の拡大を目指すとした。

 「もともとZOZOTOWNの実務責任者として、ヤフーとは多くの議論を重ねてきた。両社のリソースを生かして、より一層アパレル業界を盛り上げていきたい」(澤田社長)

孫会長も連携を後押し

 また、記者会見にはソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長も登壇。ZOZOの前社長である前澤氏から「ZOZOの社長を引退し、新しい人生を過ごしたい」と相談を受け、ヤフーの川邊社長を紹介したことを明らかにした。

photo ソフトバンクグループの孫正義会長と前澤氏

 前澤氏によれば、ヤフーとは以前からEC事業における両社のシナジーについて議論してきたが、「孫さんから川邊社長を紹介してもらったことで、改めてしっかりとした話し合いの場を設けることになった」という。

 孫会長は「提携については『私は口出ししないから好きにやれ、当事者同士で話し合って決めてくれ』と伝えていた。両社の強みやシナジーについては川邊社長からも説明があったように、今後両社が精一杯やってくれると思う」とコメントしている。

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