リンガーハットの顧客満足度はなぜ3年連続1位? ちゃんぽんで“ひとり勝ち”のビジネスモデル新連載・飲食店を科学する(2/4 ページ)

» 2019年10月02日 07時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]

ショッピングセンターへの出店を強化

 みなさんこの出店推移を見て何か気付きましたか? そうです。リンガーハットはショッピングセンター内にあるフードコートへの出店戦略を進めています。

 ここでフードコートの客層に関して考えていきます。立地にもよりますが、一般的には週末はファミリー客、平日は子ども連れの主婦がメインターゲットとなります。フードコートで成功するためには、こうしたコアターゲット層に支持されなくてはなりません。

 小さい子どもを連れた母親は特に「食の安全・安心」に対する意識が高いです。こうしたターゲットに対して「食の安心・安全」にしっかり取り組んでいることをWebサイトや店頭でPRしていく姿勢は、フードコートの出店戦略においても大きな力を発揮しています。

 さらに同社ではこうした「安心・安全」以外にも、顧客に支持されるさまざまな取り組みを行っています。次は、その1つである「マルチターゲット戦略」について研究していきます。

photo 麺の増量無料を打ち出している

リンガーハットのマルチターゲット戦略とは?

 その1つが「麺増量無料サービス」です。主力商品である長崎ちゃんぽんに関しては、麺増量を無料としています。こうしたサービスは「お腹いっぱい食べたい!」という男性客から大きな支持を得ています。

 こうした「満腹需要」に対応する一方で、「低糖質麺への変更」「にんにく不使用のギョーザ」といった女性客に配慮したメニューも用意しています。さらに「ちびっこセットメニュー」のラインアップ強化による子ども向けサービスも重視しています。このように、幅広い客層にアプローチをする戦略を、私は飲食店の「マルチターゲット戦略」と呼んでいます。こうした戦略が幅広い顧客層の顧客満足度を高める要因となっています。

 さらに、健康志向が高まっていますが、メニューに野菜の使用量を掲載することで「野菜がたくさん食べられるお店」というポジションを獲得できている点は、他のラーメンチェーンには無い差別化要素となっています。

<リンガーハットのマルチターゲット戦略例>

麺増量無料=サラリーマンや学生層

国産原材料=OLやファミリー層

ちびっこセット=ファミリー層

野菜の量=健康志向層

低糖質麺=ダイエット層

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