編集部より:連載「検証・リニア静岡問題」の予告編「リニアを阻む静岡県が知られたくない「田代ダム」の不都合な真実 」は大きな反響がありました。筆者の現地取材や静岡県への書面取材の結果を、【静岡県知事の「リニア妨害」 県内からも不満噴出の衝撃】と題し、「前編」「後編」という形で、より深く検証していきます。
全長約897メートルという世界一長い木造橋の橋脚に、時折、流木がぶつかっては流れて行く。大井川(静岡県)に架かる蓬莱橋(同県島田市)は、襲いかかる濁流に必死で抗(あらが)っているように見えた。
台風10号が日本を縦断した今年(2019年)8月15日、静岡県を訪れる機会があった。増水した大井川の堤防に立っていると、中高年の男性が話しかけてきた。
「蓬莱橋は、去年(18年)の台風24号で流されて、今年4月に復旧したばかりです。私が子どもの時と比べて、大井川の水は3分の1ほどに減ったように思います。それでも、大雨が降ると水害や土砂災害が起きはしないかと心配です」
「〽越すに越されぬ大井川」と箱根馬子唄に歌われたように、大井川は増水でたびたび川止めになった、東海道の難所である。その源流部で、リニア中央新幹線の工事を巡って、JR東海と静岡県との対立が続いている。そのため、南アルプストンネル(25キロ)は、山梨工区は15年、長野工区は16年に工事が始まったにもかかわらず、中央部の静岡工区(8.9キロ)は本工事に着手できない状況だ。
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