連載
» 2019年10月08日 05時00分 公開

現地取材で覚えた「違和感」:静岡県知事の「リニア妨害」 県内からも不満噴出の衝撃【後編】 (2/5)

[河崎貴一,ITmedia]

川勝知事が固執する「空港新駅」の実現性

 桜井県議は筆者の取材に応じて話した。

 「川勝知事は、知事に就任した当初はリニアに全面的に賛成していました。それは、リニアが開通すれば、東海道新幹線の『のぞみ』の本数が減って、ダイヤに余裕ができる。そうなれば、富士山静岡空港の下に新駅を造りたいという構想からです。

 しかし、空港新駅を造ろうとしても、西隣の掛川駅まで15キロしかありません。新駅に『こだま』が停まっている時間や減速区間を考えると、後続の『のぞみ』や『ひかり』が滞ってしまいます。それに、空港に新駅ができれば、外国からの観光客が、新幹線に乗って東京や名古屋・大阪方面に移動してしまう。これでは、静岡のメリットはあまりありません。静岡県民だって、東部の人たちは新幹線で羽田空港や成田空港を利用し、西部の人たちは同じく新幹線で中部国際空港(セントレア)を利用しているんですから」

photo 富士山静岡空港を拠点にするFDA(フジドリームエアラインズ)

 富士山静岡空港は、09年に開港して、搭乗者数は138万人を見込んでいたが、これまでの最大搭乗者数は約71万人(18年)、一日平均で2000人弱の利用と伸び悩んでいる。そこで、川勝知事の空港利用者増加策と経済振興策の切り札として、空港新駅が浮上したらしい。

 川勝知事は、定例記者会見でリニア中央新幹線のトンネル工事による環境の損害による「代償措置」として、リニア駅の建設費用に相当する額を明言した。それはまさに、東海道新幹線の新駅を想定しているように思えてならない。

photo 掛川駅に近い掛川城。山内一豊が城主をつとめた時期もあった

 実際に空港新駅の実現性はどうか。

 東海道新幹線は、混雑時には、1時間に『のぞみ』が10本、『ひかり』が2本、『こだま』が3本の15編成が走っている。列車の間隔は最短で3分しかない。

 三島・熱海駅間(16.1キロ)を例にあげると、『こだま』は三島駅を発車してから熱海駅に停車するまでに7分から8分かかる。その所要時間を参考にすると、『こだま』は掛川・静岡空港駅間(15キロ)を、6分30秒から7分30秒で走る。

 『のぞみ』は、掛川・静岡空港駅の距離を3分50秒で疾走している。『こだま』が掛川駅を発車して3分後に『のぞみ』が通過すると、途中で先行の『こだま』に追い付いてしまう計算になる。まして、来年(2020年)のダイヤ改正では、『のぞみ』が1時間で12本に増加されるので、空港新駅の実現性は難しい。

 もし新駅を造るとすれば、可能性としては掛川・新空港駅間を、複々線化するしかない。しかし、空港駅利用者は出迎えや見送りも含めて1日にせいぜい3000人だから、それだけの乗降客のために莫大な工事費用をかけるわけにはいかない。

photo 静岡駅を通過する東海道新幹線『のぞみ』
photo

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間