クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

クルマの「つながる」が分からない池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/6 ページ)

» 2019年10月15日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

スマホを取り込む時代

 そして今回第3の変革がやってきた。カローラ(セダン)とツーリング(ワゴン)の発売に合わせて、トヨタの新型ナビ「ディスプレイオーディオ」が搭載された。乱暴な言い方を許してもらえるのなら、これはスマホ連動機能を大幅に強化したものだといえる。前述したLINEのインタフェースを賢く利用するやり方をさらに進めて、今度はスマホの機能をクルマ側が使い倒す試みだといえるだろう。

スマホ連携機能を大幅に強化したトヨタの新型ナビ「ディスプレイオーディオ」

 すでにスマホには多くの機能が盛り込まれており、身の回りの多くの事をサポートできる。スマホがどう便利なのかを説明しだすとキリがないので、読者諸氏の経験に任せたい。しかも幸いに、スマホは使い方そのものも比較的周知されており、必要な人はどんどん多機能を使うし、苦手な人は限られた必要な機能だけ使ってそれなりに満足している。それをそのままクルマに移行すればいいのではないか?

 新機能はサードパーティによってどんどん開発されるだろうし、新機能や既存機能のブラッシュアップをクルマと一緒に毎度毎度開発する意味は少ない。もはやそんな領域を組み込み開発でやっている場合ではない。クルマの開発速度ではこうしたソフトウェア領域の変革の速度には間に合わない。そこでこうした車両制御や安全に関わらない部分はオープン戦略を採ることにしたのだ。

 具体的にはトヨタの「スマート・デバイス・リンク(SDL)」のほか、有償オプションで、「Apple CarPlay」と「Android Auto」が選べる。SDLはLINE社のAIアシスタント「Clova Auto」と連動する。音声アシスタントはiPhoneならSiri、AndroidならGoogleアシスタントやAlexaが使用可能だ。厳密にいえばそれぞれできることは少しずつ違うだろうが、常時機能が進化していくものなので、瞬間的な機能差で一喜一憂してもあまり意味はない。

 これによりスマホ側アプリが対応するナビやオーディオ機能を、音声コマンドで自由に操作できる。なお接続はどのみち充電が必要なのでUSBの有線接続になり、ケーブルをつなげば対応したアプリが起動する。

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