こういう進歩したのかしていないのか判然としない時代を経て、ITSを包括しつつ、さらに機能を向上させたシステムが搭載されたのは、2017年のプリウスPHVだ。
プリウスPHVにはDCM(Data Communication Module)と呼ばれる、車両専用の通信モジュールが搭載された。最大のポイントは通信容量の拡大だ。DCMでは音声とデータ高速通信が可能になったので、車両側が持つ数多くのセンサーからのデータと、前方カメラの映像をセットでクラウドに送信可能なスペックになった。
トヨタのDCMの仕組み
それはつまりクラウドサーバを使うことで、全ての演算を車両側のCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)でやらなくてもOKな時代へ向けた布石である。しかしながらプリウスPHVの段階では、まだ実験に近く、ユーザーメリットの提示もあまり明確ではなかった。唯一「ヘルプネット」と名付けられた緊急通報システムが次世代らしいもので、これは事故発生時に、クルマに搭載された加速度計が事故の衝撃などの詳細情報を計測し、医療機関とオペレーションセンターにほぼ同時通報するもので、場合によってはドクターヘリが出動してくれる場合もある(関連記事参照 )。
クラウンが搭載したヘルプネット。緊急事態に備えて専門オペレーターが待機し、警察や消防への取次を行う
SUVが売れる理由、セダンが売れない理由
セダンが売れない。一部の新興国を除いてすでに世界的な潮流になっているが、最初にセダンの没落が始まったのは多分日本だ。そしてセダンに代わったミニバンのマーケットを、現在侵食しているのはSUVだ。
交通事故で誰も死なない社会に
1970年に1万6765人と過去最高を記録した交通事故死者数は、2017年には3694人と激減した。これは自動車の安全技術と医療技術の進歩によるところが大きい。しかし、本当は死亡者ゼロこそが理想なのである。今なお自動車メーカー各社はそのためにさまざまな技術を開発し、数多くの安全システムをクルマに搭載しているのだ。
トヨタの新型「クラウン」はネット接続を標準装備 何ができる?
トヨタ自動車が来夏に発売予定の新型「クラウン」。「トヨタ初の本格的コネクテッドカー」と銘打ち、大々的に展開する方針というが、インターネットにつながることで具体的にどのような機能を持つのだろうか。
トヨタとフォード、スマホと車の接続規格で企業連合
フォードとトヨタは、自動車内でスマートフォンアプリを利用可能にするプラットフォーム「SDL」を管理する非営利団体を設立した。自動車メーカー、ソフトウェアメーカー、電機メーカーなどが参加し、SDLの業界標準化を目指すという。
自動運転よりも“無人運転”が注目される理由
「無人運転車」と「自動運転車」は、それぞれ目指すゴールが違う。自動運転は個人が買って乗ることを前提としているが、無人運転には社会インフラを支える大きな役割が期待されている。
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