クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

クルマの「つながる」が分からない池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/6 ページ)

» 2019年10月15日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 普及のためにはインセンティブが必要である。そこへ一歩踏み出したのが18年のクラウンとカローラ・スポーツだ。

 トヨタが大々的にコネクティッドカーを告知し始めたのはこのタイミングである。極めてざっくりとした言い方だが、ヘルプネットに加えて、快適機能とエンタテインメント機能が追加された。

 例えばオペレーターとの音声通話によるコンシェルジュサービスや、ナビなどの音声コントロール機能の拡充、運行記録のスマホ転送、リアルタイム情報が更新される地図データなどが追加された。未来感のあるサービスが付与されたことで、DCMの年額制通信料(含む利用料)を負担する意味がようやくできた。

 このとき、筆者が感心したのは、LINEをインターフェースとしたコネクティッドの操作方法だ。通信によって可能なことが増えるほど、操作は煩雑になる。しかも提供されるサービスが多岐に及び過ぎているため、スマホで操作するにしてもアプリがパンクする。例えば音楽を操作する機能と事故の通報をする機能、クルマのメインテナンスについての機能が同じアプリに統合されても混乱するだけだ。

 かといってクルマに関係するアプリを3つも4つもインストールさせて、それぞれに異なる操作に習熟しろというのも無理な話だ。

 LINEマイカーアカウントでは、LINEの友人と同じように自分のクルマを登録して、メッセージで操作を行う。例えば「金閣寺へ行きたい」と打ち込めば、あとはAIのアシストによるダイアログで、ナビの目的地や到着時刻設定から、燃料残量に応じた給油タイミングのサポートまで全部設定できる。

 こういう誰もが知っている既存のサービスを利用したインターフェイスの設計は非常に賢く、多機能を手軽に利用できる優れたアイデアである。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.