「じゃがりこ」が350億円の“お化け”商品に成長したワケ “いじられ”力と独自製法がカギ2020年に25周年(4/5 ページ)

» 2019年10月30日 06時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

ユーザー発で盛り上がる“不思議”な現象

 また、Twitterで人気の料理研究家が、フランス版マッシュポテトである「アリゴ」を、じゃがりことチーズを混ぜてつくるレシピを公開したところ、リツイートが17万回されて、55万のユーザーから「いいね」されたことがあった。また、人気YouTuberがすぐに反応し、アリゴを実際につくる様子を投稿したところ300万回再生されたという。

 このほかにも、お客が「じゃがりこの日」を勝手につくり、お店のじゃがりこを買い占めようと呼びかけたことがあった。お店もそのイベントに乗る形で「今日はじゃがりこの日」と銘打ち、売り場を展開したという。カルビーはもともと、小売りチェーンから「ポッキーの日のように、じゃがりこの日をつくって」と要請されていたこともあり、2016年に10月23日を「じゃがりこの日」に制定した。

 このように、じゃがりこにはユーザーから“いじられ”やすい特徴がある。松井氏も「当社がしかけたわけではないのに、ユーザーの方々が自発的に盛り上げてくださることがあります。なぜ、ここまで話題が広がるのか、不思議に思うこともあります」と語る。

ユーザーとのつながりを重視

 カルビーは、ユーザーとのつながりを強固なものにするため、07年から会員制のファンサイト「じゃがり校」を開設している。じゃがり校に入学するには、会員登録を行い、毎年実施される入学試験を受ける必要がある。合格すると、新商品の味・コンセプトなどを決める「新商品開発プロジェクト」に参加できる仕組みだ。毎年新入生が入学してくるので、新しい視点で商品開発ができる。カルビーには「堅あげポテト応援部」というファンサイトがあるが、コンテンツの数ではじゃがり校が圧倒している。

 じゃがりこの成長を可能にしたのは、マネされにくい独自の製造技術と、ファンから“いじられ”やすい商品属性にあるようだ。

photo じゃがりこのブランドマネジャーである松井淳氏(マーケティング本部 商品2部1課)

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