#SHIFT

ホリエモンが語る「修業期間」を真っ先に捨てるべき、これだけの理由――職人ではなく「経営者」になれ堀江貴文の『捨て本』【後編】(3/5 ページ)

» 2019年10月28日 05時00分 公開
[堀江 貴文ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

目的意識を明確にせよ

 もちろん、自分から修業したいという人の意欲は、否定しない。何年も下積みの修業をして、たしかなスキルを身につけてから、世に出ようという誠意は悪いものではないだろう。もともと不器用だから、うまくなるのに時間がかかるので長く修業したい、という気持ちも分かる。自信創出のために必要な時間だというなら、好きなように修業したらいい。

 ただ、スキル獲得のための絶対条件ではない。修業すれば人間力が身につく、などと言われるが……そんなわけないだろう。厳しい修行を積んだくせに、頑固で偏屈で、おまけに無愛想な職人がどれだけいることか。

 そもそも人間力なんていう、抽象的すぎる基準を盾に、若者から大切な時間を奪うなんて、どれだけ傲慢なのだ。修業は無意味という主張よりも、僕が問いたいのは、本質の部分だ。君が何らかのスキルを得たいと言うとき、僕は最初に訊(たず)ねるだろう。

 「目的は、何なのですか?」

 「おいしい料理で人を幸せにしたい」というのが目的なら、注力すべきは修業期間ではないはず。SNSや食べ歩きを駆使した情報収集や、流行っている店のつくり、料理人のパフォーマンスを学ぶことの方が大事だ。目的が「長く修業したい」のだったら、どうぞ好きなだけ、下積みを延々と続けてください。目的がお客さんに向いているのなら、修業は真っ先に「捨てて」いい対象だ。 

phot 高校卒業で店に入り、皿洗いなど雑用で数年、焼き物を担当して数年を費やす。独立できるようになるのは、早くて40代を過ぎたあたり……それでは遅すぎる(写真提供:ゲッティイメージズ)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.