コラム
» 2019年11月07日 05時00分 公開

愚痴や告げ口はNG:嫌いな上司を黙らせる2つの方法 (2/3)

[金武偉(キム・ムイ),ITmedia]

営業成績で見返す

 そこで、とにかく私は日々耐えて、尊敬するT先輩の教えだけに忠実に従った。顧客と向き合い、大手クライアントから評価された結果、大きな営業成績を収めさせていただいた。光栄にも実績という数字が私の会社への貢献を「証明」した。そして、結果至上主義の私の職場では、沈黙する数字が他の何よりも甲高く社内全体へ私の貢献を「表明」してくれていた。その日以降、私への「新人レクチャー」はぱたっと途絶えたことがうれしい副産物だった。それどころか、2人のキャラクターが「かわいい年上お姉さん」と「顧客の物まねが得意なお兄さん」に突如変身して、私に優しく接してくれるようになった。

決して殴ってはいけない

顧客に土下座した

 もう1つのエピソードも紹介したい。私は、私のことをかわいがってくれていたX先輩の「うっかりミス」を被らされたことがある。会社にとっての超重要顧客を、X先輩と一緒に私が担当することになった。そして、ごあいさつにうかがった際、顧客からアナリスト資料を急ぎ手配するよう要請されたのだが、X先輩が「俺が直接手渡ししておく。何度も顔を見せるのが大事だから」と引き取った。しかし、X先輩は他の案件で忙殺され、そのことをすっかり忘れてしまった。そして、顧客から部長へクレームがきてしまい、なんと私の責任になってしまったのである。

 「頑張ってるお前にチャンスをやろうと思ってこの顧客を担当させてやったのに、ゼロじゃなくてマイナスからのスタートだからな!」――部長は、私の同期入社の仲間や、当時恋心を寄せていた女子社員を含むフロア中の全員が見ている前で、私を激しくしかりつけた。

 これからも皆で連携して仕事をやる以上「正論の直球」が正解でないことが多い。部長の前で、クレームの原因が「X先輩がうっかり忘れていた口約束」であることを私が論じても、その先輩と今後の仕事がやりづらくなる。部長も、興奮している手前、私への評価を元に戻すのではなく、むしろ私と先輩を「セット」で怒り倒していただろう。そして、会社にとっても、何も解決にはならない。

 正直、私にとっては大迷惑で、その先輩と部長、さらには職場の理不尽さにまで嫌気がさしたものである。後日、その顧客にアポをとり、X先輩と2人で謝罪にいった。謝罪当日、顧客の前で私は自分の非を認め、新人としての至らなさを悔やみ、土下座をした。

 帰りのタクシーの中、X先輩は、土下座までした私に面食らって狼狽(ろうばい)している。「いい意味でも悪い意味でもエリート視される外資系金融のお前が、ああやってけじめをつけたことはすごく意味がある。俺からキチンと部長に報告しておく」――そう語りかけてくれた先輩に、私は例の口約束のことをポロっと告げた。そして、それでも会社としてこの問題を解決し、先輩ともうまくやりたいから私の判断で今日の行動をとった旨を告げた。

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