「スーツにリュックサックを合わせるのはマナー違反」「周囲に非常識な印象を与える」――。最近、こんな意見が話題になった。
一部メディアに掲載されたコラムが「スーツにリュックは非常識、合成皮革の靴もダメ」と批判的に取り上げ、Twitterではユーザーからさまざまな意見が相次ぎ、トレンドにも入った。「今どきは問題ない」という声も多かった一方、「スーツにリュックはダサい」「抵抗がある」「普通のかばんの方がいい」といった声もあった。
ただ、書類やPCなど多くのアイテムを収納できる点や、両手が自由になる点など、リュックには一定のメリットがある点も事実だ。ビジネスシーンに適した、落ち着いたデザインのリュックを展開するメーカーも増えている。
アリなのか、ナシなのか。NPO法人 日本サービスマナー協会に所属する専任マナー講師で、身だしなみに詳しい上田由佳子さんに、プロの視点からの意見を聞いた。
――「スーツにリュック」はマナー違反なのでしょうか。
上田さん: スーツにリュックを背負った装いがマナー違反だとは、一概には言い切れません。若い世代で広がっていますし、アパレル関係やIT関係など、比較的寛容で個性を重んじる社風の企業では、不快に思う人は少ないようです。
一方、高い年齢層の方には、リュックを受け付けない人は多くいます。伝統や格式を重んじる企業にもまだ受け入れられていません。上司や営業先の中には、不快感を示す人がいる可能性があるため注意が必要です。
――なぜ「スーツにリュック」は、上の世代や伝統ある企業から嫌われるのでしょうか。
上田さん: 由来をさかのぼると、リュックは登山用に作られたものであり、2010年前後までは、ビジネス向けのモデルはあまり販売されていませんでした。スマートフォンが普及し、両手がふさがらない点が支持されて一気に広がりました。
そのため、(スマホが普及する前から仕事を続けてきた)上の世代には、リュックに「登山用」とのカジュアルな印象を持ち続けている人が多く、ビジネスシーンで使っていると「仕事ではなく遊びに行くのか」と不快にさせてしまうようです。
また、近年はしっかりした素材のビジネスリュックが出てきていますが、かつてはそうではなく、(ミーティングなどで床や椅子に)置いた際に形状が崩れてしまう点も、マナーが悪いとの印象を与える要因になっています。
私個人としては、リュックを背負うとスーツにしわができてしまう点が、身だしなみ上の課題だと感じています。
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