G20大阪サミットにおける米中首脳会談を最初に呼びかけたのは、実はトランプの方だ。もし応じなければ、厳しい追加関税が待っていると、5月の時点から習近平国家主席に脅しを掛けている。
5月5日、トランプは日用品など2000億ドル(約21兆円)分の第3弾関税を25%に引き上げるとツイートしており、5月10日に第4回目の米中通商交渉が決裂すると、同日、制裁関税を25%に引き上げると決定(実行したのは6月15日)。
5月13日には3000億ドル分に最大25%の関税を上乗せする第4弾を発表したのだ。5月15日にはファーウェイを含めた中国の関連69社をエンティティ・リストに登録し、事実上の禁輸制裁を表明している。
こうしておきながらトランプは、G20大阪サミットに出席するとツイートし、さらに大阪サミットで米中首脳会談を行うと発信したのだ。習近平がもし出てこなければ、第4弾を発動するぞと居丈高だった。
それに対して中国外交部側はしばらくの間、「出席するか否かに関しては、今のところ情報がない」と答えを濁していた。つまり、トランプの呼びかけに対して、老獪(ろうかい)な習近平はしばらくの間沈黙を続けていたのである。
6月18日になってトランプは習近平と電話会談をし、ようやくG20出席と米中首脳会談実施の同意を「一応」取り付けた。万一にも習近平が出席を断れば、トランプのメンツは潰れ、米大統領選に不利になる。だから、その前までは激しい脅しを掛けていたわけだ。
そのようなことになるくらいなら、米中首脳会談を行う可能性などをTwitterでつぶやかなければいいのにと思うが、これがトランプの「悪い癖」とでも言おうか、ほぼ反射的に発信してしまうのだろう。「先に言った者が敗ける」というルールを、あまりわきまえていないらしい。その後、中国外交部は習氏のG20出席と米中首脳会談実施を正式に表明し、米中通商交渉担当者同士の電話会談も行なわれた。
その間に何が起きたのか。
中国政府の元高官(長老)を取材した。
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