ガイドラインでは、基本給、賞与のほか、役職手当、特殊作業手当、特殊勤務手当、時間外労働手当の割増率、通勤手当・出張旅費、単身赴任手当、地域手当、福利厚生などについて判断基準を解説している。
例えば基本給については「能力・経験」や「業績・成果」、あるいは「勤続年数」に応じて正社員に支払っている場合は、非正社員も実態が同じであれば同じ額、違いがあれば、違いに応じた額を支給しなければならないと言っている。また、正社員は毎年、勤続による能力の向上に応じて昇給する場合、非正社員も同じ能力が向上すれば同じ額を昇給させ、能力に違いがあれば違いに応じた昇給をしなければならない。ボーナスも会社の業績への貢献度に応じて支給する場合、非正社員が同じ貢献をしていれば同じ額を、違いがあれば違いに応じた額を支給する必要がある。
正社員と非正社員の業務内容や責任の程度など働き方がまったく同じというケースは少ないだろうが、例えば正社員が年功賃金で毎年昇給していれば、非正社員を昇給させないのはダメだということになる。
すでに法律施行前の裁判でも正社員との基本給格差が不合理だとして支払いを命じた判決もある(「学校法人産業医科大学事件」福岡高裁平成30年11月29日判決)。
臨時職員として30年以上働きながら、同じ頃に採用された正規職員との基本給の額が約2倍も開いていたことについて均衡待遇の観点から裁判所は不合理と断定した。
また、ボーナスについても会社の業績貢献度に応じて支払っている場合、正社員だけに支給し、非正社員はゼロというのは許されない。労働問題に詳しい弁護士はこう指摘する。
「もちろんボーナスなしは許されません。似たような仕事をしている正社員に給与の4カ月分を払っているとすれば、ボーナスの査定期間に正社員と比べて非正社員がどれくらいがんばったのか、あるいはどれぐらい重い仕事をしていたのかを、貢献度の度合いに応じて支払うことになります。正社員10に対して8ないし7なのか。さすがに10対4や10対3の割合ではアウトでしょう」
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