『倒産の前兆』を見抜くために――1日22社が倒産する中で知るべきは「成功」よりも「失敗の公式」あなたの会社は大丈夫? 『倒産の前兆』を探る【最終回】(3/5 ページ)

» 2019年11月27日 05時00分 公開
[森永康平ITmedia]
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経営者はPEST分析をせよ

――書籍のなかで、倒産した企業の多くが環境の変化についていけなかったと書いてありました。どのようにすれば環境の変化に対応できるのでしょうか?

丸山:仮にヒット商品が生まれても、その後、環境の変化に気付かずにボーっとしていると茹(ゆ)で蛙状態になって、いつかは死んでしまいます。ヒット商品が出たとしても、同時並行して他の商品も作っていく必要がありますし、開発力が重要になると思います。何事も先手、先手でやる。しかし、身の丈にあった設備投資をすることも重要です。

――環境の変化といっても、リーマンショックや東日本大震災など、企業にとってはどうしようもないこともありますよね? 実際、書籍で紹介されていた企業でも、リーマンショックや東日本大震災が倒産のきっかけになってしまった企業もありました。

遠峰:確かに、不可抗力のような事象もありますが、それでもBCP(事業継続計画)対策をするなど、打つ手はあります。工場を一カ所にまとめない、取引先を分散しておくなど、できることはあります。時間がかかるかもしれませんが、そのような基本的なことを地道にやるしかありません。

丸山:例えば、リーマンショックのときは不動産業界が一気に悪化しました。リーマンショックまでは不動産業界がバブルになっていたので、多くの不動産業者が販売用不動産を大量に買っていて、在庫も大量に持っていた。それでも、なかにはそろそろ不動産市況が悪くなるのではないかと感じて、在庫を減らし始めた社長もいるのです。その結果、全ての企業が倒産するということはなかったわけです。つまり、経営者は自社の商品や産業だけではなく、経済環境を意識すべきなんですね。

遠峰:経営者は政治や経済、社会状況や最新のテクノロジーといったことを勘案して、常にPEST分析(ポリティクス、エコノミー、ソサエティー、テクノロジー)をすることが重要だと思います。新聞を読んだり、異業種交流会に参加したりすることで、違う業種の情報やさまざまな角度の視点を手に入れて、常に視野を広げる努力をする必要があると思います。

phot 経営者は刻一刻と変わる政治や経済のほか、社会状況や最新のテクノロジーを勘案し、常にPEST分析をする必要がある(写真提供:ゲッティイメージズ)

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