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» 2019年11月27日 06時00分 公開

部下への1on1やコーチングが失敗する訳――モチベ維持できない課長の“致命的欠点”とはマネジメントの「本質」を問う(4/4 ページ)

[種部吉泰,パーソル総合研究所]
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部下の求める認識、どう満たすか

 名古屋商科大学大学院(MBA)の高木晴夫先生は、書籍『プロフェッショナルマネジャーの仕事はたった一つ』の中でこう述べている。「部下は自分の存在や、自分が担う仕事について、その意味や価値・重要性に関する認識を持ちたいと思っている。上司は部下のそういった認識を満たすことで彼らのモチベーションを高めることができる。これがマネジメントの本質である」と。

 課長に求められる、部下に対するマネジメント行動は数多くあるが、高木先生の言われる「マネジメントの本質」を理解した上でマネジメントを行っているかどうかが、上滑りしないマネジメントの鍵である。課長は以下のような点に関して、部下の認識を満たしてあげることが必要である。

 ・この会社や職場で、私の担う仕事はどのような意味や価値をもっているのだろうか

 ・この仕事はなぜ私は担当するのだろうか

 ・この仕事は周囲からどのように評価されるのだろうか

 ・上司は私をどう見ているのだろうか(役立ててくれようとしているか)

 高木先生は同書籍で「世の中には確かに優れた課長(マネジャー)が存在する。そういった人は、決してカリスマ性や並外れた専門能力を持っているわけではない。ただマネジメントの本質を理解し、日々実践しているのである」と述べている。裏を返せば、多くの課長はこの本質を理解せぬままマネジメント職を担っているのである。

 これからも続くと思われる、厳しいビジネス環境下で、課長は部下のモチベーションを高めようと日々必死にもがいている。現場のキーパーソンである課長に期待し、何とか武器を持たせてあげようと、多くの企業では1on1のような機会を制度化したり、コーチング研修を実施したりしている。

 それらが機能するには、高木先生が述べられた「マネジメントの本質」を課長が理解することが前提となる。そうでなければ、全ての制度や研修が無駄に終わるであろう。

 多忙を極める課長は、組織成果をあげるために日々奮闘している。課長にとって部下のモチベーションは、組織成果をあげるために非常に気になるテーマである。会社としても1on1を制度化したり、管理職向けの部下とのコミュニケーション研修を用意したりするなどの工夫はしている。しかし多くの場合、マネジメントの本質を付いたメッセージが課長に届けられていないのである。このままでは何も変わらない。

 人が組織の中で働く際、どのような認識を欲しているのか。それを満たすこと。これこそがマネジメントの本質である。これを課長に理解・実践させることこそが、マネジメントの質を大きく高め、成果をあげる組織への成長を促すのである。

著者プロフィール

種部 吉泰(たなべ よしやす)

パーソル総合研究所人財育成ソリューション部部長・人材開発コンサルタント

筑波大学大学院ビジネス科学専攻・経営システム科学専攻博士課程(前期)修了。人材育成学会会員。1999年に人材開発コンサルティング会社に入社。以来、人や組織のパフォーマンス上の課題解決に従事。リサーチ業務及びリサーチ結果に基づくトレーニングの開発・実施に携わる。研修講師歴は約20年。2017年9月より現職。


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