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» 2019年11月27日 06時00分 公開

マネジメントの「本質」を問う:部下への1on1やコーチングが失敗する訳――モチベ維持できない課長の“致命的欠点”とは (1/4)

部下のモチベーションを高めようと努力する企業の課長職。しかし1on1やコーチングが奏功していない職場も少なくない。ベテラン人材コンサルがそのメカニズムを分析。

[種部吉泰,パーソル総合研究所]

編集部からのお知らせ

 本記事はパーソル総合研究所のコラム・レポートから抜粋・転載したものです。


 「従業員のモチベーションを何とかしたい。現場の課長は何をやっているんだ!」

 働き方改革、生産性向上、コンプライアンス遵守(じゅんしゅ)、D&I(ダイバーシティー&インクルージョン)推進など、これらの全てが経営上の重要課題だが、業務の負荷はほぼ全て課長(課長ではなくマネジャーという呼称の企業もあるでしょう)に集中している。業務の負荷が集中する中、課長は部下のモチベーションを何とか高めようともがいている。しかし現実は思うようにならない。

photo 部下のモチベ向上に悩みがちな課長職(写真はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

マネジメントの本質、理解しているか?

 1on1やコーチング、いろいろとやっているんだけど…。そう考えている課長をはじめとする管理職の皆さん、まずは考えてみていただきたい。あなたの会社の課長はマネジメントの本質を理解していますか?

 働き方改革、生産性向上、メンタルヘルスケア、コンプライアンス遵守(じゅんしゅ)、D&I。企業で働く人たちにとってはよく耳にする言葉である。これらに関するさまざまな取り組みの影響を最も受けているのは恐らく課長であろう。例えば、働き方改革におけるKPIの1つである残業時間削減に関して、課長は部下の労働時間を管理しながら、組織成果はこれまでと同等以上のものを求められ、結果として課長自らの業務量やプレッシャーはかなり増している。

 部下にはコンプライアンスを遵守(じゅんしゅ)するように働きかけ、情報管理にも目を光らせ、更には部下の健康状態にまで配慮しなくてはならない。働き方改革の促進によりリモートワーカーが増えることで、部下の仕事ぶりを直接観察する機会が減れば、部下に納得感をもってもらえるような評価やフィードバックを行うことがますます困難になることが予想される。

 別の観点だが、昇進して課長(管理職)になり残業代が発生しないことにより手取りが減った、という話もよく聞く。このような状況では、現場の要である課長が疲弊してしまう。

 私は年間60〜80日間、講師として管理職研修を担当している。研修前後のインタビューなどを含め、毎年数多くの課長の皆さんと接してきている。彼らとの対話を通して感じるのは、課長の皆さんは上記のような厳しい状況であることを十分認識はしつつも、決して悲観的ではないということである。

マネジメントの本質理解していない課長たち

 新任課長もベテラン課長も「何とかしたい」という気概を皆さんが持っている。ただ私が見るところ、一様に手詰まり感を覚えているように感じられる。マネジメントにおいて、自分なりには頑張っているが、これ以上何をやれば良いのか分からないといった状態であろう。彼らの言う「これ以上」の"これ"は何を示しているのかを聞いてみると、おおよそ以下のような返答がある。

 ・部下と1on1を定期的にやっている。その際は部下の話を聞くように心掛けている

 ・評価をできるだけ高くつけてあげられるよう配慮している

 ・できるだけ声をかけるようにしている(飲みに行くようにしている)

 これらのどれもがマネジメントの本質を付いているとはいえない。課長の皆さんは自らの経験と勘をもとに日々奮闘し、会社や上司、部下からの多様で複雑、ときに困難な要求に何とか応えようと必死にもがいている状態が、まさに組織マネジメントにおける「課長のリアル」なのである。

 そもそも課長はマネジメントをどう理解しているのだろうか。管理職研修の中で「マネジメントとは何をすることか」と参加者に問いかけてみると、以下のようなことが挙がってくる。

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