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» 2019年11月28日 08時30分 公開

新人の育て方 第2回:OJTの効果と効率を上げるコツは「分けて教えること」 (1/2)

人材育成のプロが新人指導のコツを解説。連載第2回では、OJT(On the Job Training)を実施する際に注意すべきポイントに触れる。

[島村公俊,ITmedia]

 新人のOJTは順調に進んでいるでしょうか? OJTとは、On the Job Training(実務を通じたトレーニング)のことです。新入社員を育成する育成担当者のことをOJT指導員と呼んだり、OJTトレーナーと呼んだります。

 気が付けば、すぐに次の新入社員の入社が待っていますので、少しでも早く一人前になって欲しいと願う指導者も多いのではないでしょうか。

 早く一人前になってもらうために、今後ますます、多くの新しい仕事を新人に依頼することになると思います。その際に、新人にどのように仕事を教えるのが効率的なのか、連載第2回ではこの点について触れていきます。

OJTの効率を上げる2つの方法

仕事が忙しい中で、効率的に仕事を教える方法は?

 効率的に業務を教えるOJTアプローチで最も大切なことは、「分けて教える」ということです。教える側としては、「一気に説明して終わらせたい」「知っていることを全部吐き出して自分の仕事に戻りたい」という思いに駆られた経験が一度や二度はあると思います。

 しかし教わる側の新人は、多くの情報を一度に教わってもなかなか頭に入ってきません。指導者が効率を追求して、レクチャーを一気に済ませようとすればするほど、実は“非効率的なOJTの道”に迷い込んでしまう可能性があるのです。

 仮に、新人に教える仕事量がそれほど多くなければ、一度に教えることもできるでしょう。しかし、仕事のボリュームが大きいと、一気に知識を詰め込むのは相当難しくなります。そんなときは、OJT場面で教える業務を分解し、順番に説明していくことで習得スピードを速めることができます。

新人に業務を教えるとき「業務分解のコツ」は?

 私は前職の人材開発部門で主に社内研修を担当しておりましたが、研修を実施するまでには大きく3つのプロセスがありました。

  • 研修実施までの流れ
    1. 研修を企画する
    2. 研修を開発する
    3. 研修を実施する

 このように、自身の業務をプロセスで分けることができないかを考えてみます。研修業務を新人に教えるときは、まず研修実施までの全体像をつかませ、その上で1つだけ、例えば「研修の企画方法」のみをレクチャーしていきます。レクチャーを終えたら、すぐに新人の口から、研修の企画方法のポイントについて説明をさせ、気が付いたことをフィードバックし、質問もその場で受け付けます。また、「現状把握の進め方で、現場に確認する部分が不十分だったよ」「購買部門との調整の説明が抜けていたよ」など、気付いたことを指摘して、理解を深めていきます。

 それができたら次のステップに移ります。次のステップである「研修を開発する」へと進み、同様にレクチャー、フィードバック、質問を繰り返していきます。このように、OJTにおいては、教える内容を分けてステップ・バイ・ステップで教えていくと、新人の迷いも少なくなり、育成スピードが格段に上がります。

 この例では、研修実施までの一連のプロセスが明確に存在するので業務を分割しやすいといえるでしょう。

 もし、仕事を分解しづらいと感じたら、無理やりにでも3つに分けたり、2つに分けたりしてみると、分解のきっかけがつかめると思います。私はOJTにおいて仕事の分解に困ったときは、自分自身に次のような質問を投げかけるようにしています。

 「仮にこの業務を分けるとしたら、いくつに分けられるだろう?」

 「仮にこの業務を3つに分けるとしたら、どう分けられるだろう?」

 こう自分に質問を投げかけ、OJTで教えるべき業務を分解して、分かりやすくかつ効率的に新人に業務を教えていきましょう。

新人に手本を示すときに、注意すべきことは?

 OJTで新人に業務を教える際に、手本を示して教える指導者は非常に多くいます。それは、多くの指導者が「業務を新人に習得させるには、まずは手本を示すのが近道だ」と考えているからです。この「手本を示す」というOJTアプローチと、レクチャーを通じて教えるというOJTアプローチは大変似ています。それは、一方的に情報を発信しているという点です。

 手本を示している間は、伝えたい情報を一方的に発信し続け、新人にそれを一方的に見続けさせています。そして、なぜか多くの指導者は、新人に手本を一度示したら、「もう分かったはず」「理解したはず」と思ってしまいがちです。

 しかしながら、いくら新人に手本を示しても、本当に見てほしいところを見ているとは限りません。例えば、OJTで自身の営業先に新人を同行させ、「商談の様子を見せたい」と思ったとき、あなたなら何と言うでしょうか?

 指導者はよくこう言います。「お客さまと私のやりとりをしっかりと見ておくんだよ」。しかし、「お客さまとのやりとりをしっかり見ておくんだよ」という表現では、新人は、「ひとまず商談をしっかりと見ていればいいんだな」と、ぼんやりと接客全体をただ眺めているだけになってしまいがちです。そして、こちらが見てほしい肝心なところを見ておらず、いざ新人に1人でやらせてみると実践できないケースもあります。

 そのような事態を回避するには、「しっかりと見ておくんだよ」ではなく、「お客さまのニーズを把握する具体的な言葉をメモにとっておいて」と伝えるなど、「見るべきポイントを具体的に指示」しなければいけません。それが、業務の習得スピードを早めることにもつながります。

 OJTにおいて、何かをやってみせるときは、「どこに視点を定めればいいのか」をはっきりと示した上で手本を示すのが効果的です。

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