今年の「中国の日本商品人気トレンド」で見えた“日本メーカー、勝負の分かれ目”中国マーケティング最前線(2/2 ページ)

» 2019年12月11日 08時00分 公開
[服部良祐ITmedia]
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同じ定番商品に人気が「固定化」

photo 中国SNSで「日本商品を買った」口コミ件数と、口コミ対象となった商品数の推移(左が2019年、右は18年分。トレンドExpressがウェイボーの投稿から分析。クリックで拡大)

 同社によると、中国SNS上で「日本商品を買った」という趣旨の口コミ件数自体は、年々増加している。半面、特徴的なのが「口コミされた日本の商品数」の減少傾向だ。17年には563商品だったのが、19年は486商品に減っている。

 口コミ件数自体が増加傾向にあることから、中国マーケットの日本商品への注目度は依然高まっていると言える。一方で中国人の関心は「日本の商品なら何でも」というよりは、特定の人気商品に集中する傾向にあるようだ。

 トレンドExpressの担当者も「人気商品に口コミが集中する一方で、消費者とコミュニケーションをあまりとっていない日本の商品は脱落している」と分析する。「中国マーケットは“情報過多”な状態にあり、世界各国のメーカーがアピール合戦を重ねている。(消費者に届く)情報のルートもいろいろあるため、その中でどう目立つかが重要だ」。

 担当者によると、中国市場では消費者が自発的に火を付けて盛り上がっている商品と、メーカー主導で消費者に話題を振りまいて売れている商品の2タイプが目立っている。

インバウンドと現地市場開拓の“両面作戦”を

 一方、話題になる日本商品の数が絞られて「定番化」している今、「中国で戦略的に口コミを増やしていけるかが重要になる」(担当者)とみる。例えば、既に中国人訪日客からのどあめで強い支持を得ていた龍角散は、8月に中国の医薬メーカーと業務提携し、中国での現地販売ルートの開拓に乗り出している。

 どうしてもインバウンドに頼りがちだった、日本メーカーの対中国マーケット戦略。トレンドExpressの担当者は「今はインバウンドとアウトバウンド(この場合は中国本土への売り込み)両方を取る戦略が日本メーカーには必要」と説く。

 特定の定番商品に人気が集中し、もはや「日本商品なら何でも受ける」という時期を脱しつつある中国向けマーケティング。インバウンド一辺倒の戦略を脱し、本丸である中国本土の市場でどう販促戦略を仕掛けられるかが日本メーカーに本格的に問われている。

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