無料化の流れは売買手数料にとどまらない。次に無料化の波がやってくるのが、投資信託やロボアドバイザーなど、顧客から預かった資産を運用するアセットマネジメント事業だ。
「ブローカレッジは20年かかって利潤が消えつつあるが、アセットマネジメントはもっと早いのではないか」(大原氏)
投資信託などは、顧客に代わり資産を運用する対価として、信託報酬などの形で預かり資産の0.1〜1%程度を受け取る。国内のロボアドバイザーサービスでも、預かり資産の1%程度を受け取る形が多い。
ところが、米フィデリティ・インベストメンツは18年に信託報酬が無料のインデックスファンドを提供。高い注目を集めた。こうしたゼロコストの流れは他社にも波及。米国では信託報酬ゼロのETFなども登場し始めている。
「日本でも、アセットマネジメントサービスが氾濫していて、付加価値が見えにくくなっている。プロダクトに対する価格低化圧力は強い」と大原氏は指摘する。
ただしサービスの付加価値が低下しているからコストがゼロになるのではなく、ブローカレッジと同様に、無料にしても成り立つ準備が整っているからこそゼロが実現するというのが、大原氏の見立てだ。
「フィデリティがなぜゼロにできたかというと、同社のファンドプラットフォームへの参加を促すためだ。ファンドのユーザー数を増やせば、プラットフォームを使いたいという運用会社が増えていく」
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