再演に当たって最大の課題は集客だろう。堀江は「僕は経営者。経営者は事業を赤字にしちゃいけない」と語気を強める。
「死んでも黒字にする。僕は集客のために『タダで良いから来てください』と知人を呼ぶようなことは基本的にやりません。そこはプロデューサーであり経営者ですから。商業的に成功している演出家には必ずいいプロデューサーがついていると思う。裏方としてしっかりビジネス面を見ている人がいる。だから僕自身、ありとあらゆることをやりました」
クリスマスキャロルは、総動員可能数2400席で、食事なしの安価な席でも7000円(以下、税込み)だ。それにアリーナ席と2階テーブル席が4万円、展望ビューシートが5万円、VIP席は15万円。15万円というと非常に高額なので苦戦しそうな印象も受けるが、堀江は「それは違う。むしろそこにニーズがある。高い席から売れていくんです」と否定した。
「まだまだこの国にはいろんな種類の富裕層の人がいて、どうやってお金を使えば分からないという人も多い。僕はそういう人たちに演劇ってこんなに面白いんだよ。僕たちを支援してくれたら演劇界の若手が育ちますよ、ということを伝えたいんです」
役者をやっていてもその多くは生活の糧を得ることができずに苦労を強いられている。堀江はそんな演劇界の収益システムの現状に一石を投じたいと考えている。では今回の再演では具体的にどんな対策を取ったのか。1点目は意外にもDM(ダイレクトメール)による知人への声掛けという非常にアナログな手法だ。経営者にとって大事なのは「しつこさ」だという。集客などに際して、自身ではなかなかこうした行動を取らなくなる経営者も多いというが、堀江はその姿勢を否定する。泥臭い営業努力が実を結ぶのだという。
「LINEやFacebookで友達に連絡したり、キャストの人たちにも(知人に)声掛けをしてもらったり、手は尽くしました。地道なことをやっていない人が実は結構多い」
また、チケットの販売方法も工夫したという。法人や大口顧客向けに「堀江貴文を講演会に呼ぶ権利」を付けたアリーナ席60席の「まとめ買いチケット」を264万円で販売している。「去年は赤字だったけど今年は違う」と胸を張った。
堀江のミュージカルは観客の男女比が7:3。女性が9割といわれる芝居の世界では珍しいのだという。この男性比率の高さを生かして湘南美容クリニック(本院・東京都新宿区)の協賛を得た。既存顧客の大半が女性で「男性向けに新しい市場を開拓したい」という同社とのニーズが一致したのだ。
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