中国メーカー「Xiaomi」はテック業界の“無印良品”となるか(3/3 ページ)

» 2019年12月13日 10時50分 公開
[本田雅一ITmedia]
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スマホ、IoTが日常へと浸透する中での商品企画

 さて、このコラムはシャオミの製品レビューを届けるものではない。

 とはいえ、これまでの海外での評価が踏襲されるとするなら、圧倒的な生産数で品質を高め、コストを下げ、さらにはカッティングエッジではないが満足度の高い低廉な製品が今後も多数投入されていくのだろう。

 余分なものは付加しないが、しかし必要な、消費者の心に刺さる要素は磨き込む。今回のラインアップを詳しくみると、その狙いがよく分かる。

 例えば、9999円のIH炊飯器は日本の技術者を採用し、おいしく炊けるように工夫している。3ミリ厚の釜を採用といったスペック以上に、IoTらしい魅力的な調理器として仕上がっている。単なる炊飯器としても炊き上げを細かくスマートフォンでコントロールしたり、帰宅時間に合わせてリモートで炊き上がる機能があったり、このほかにもプラスαがある。

 蒸し料理や煮込み料理、低温調理などが行えるよう設計されているのだ。従来ならば操作が煩雑で組み込まれなかっただろうが、IoTとなったことでシンプルに組み込めた機能だ。コメ消費が減ってきている日本の食生活を考えると、なかなか上手な商品企画だと思う。

IoT炊飯器

 ハードウェアはシンプルかつ低価格。しかしネットと連動させることで付加価値を高める。テクノロジーを商品単価を高めるための付加価値向上に使うのではなく、あくまで「お得さ」に割り振る。

 “生産数”によるスケールで下がるコストと、量産しても下がりにくいコストを明確に分けて、スケールでカバーできる要素をうまく商品力を高める手法は、スマートフォンやIoT機器であることが“特別”ではなく“日常”へと変化する中にあって強みを発揮しやすいはずだ。

 Appleが高級ブランドの確立を電子デバイスのジャンルで達成しようとしているのに対し、道具としてのシンプルさに自社ブランドの価値を見いだす。今後、さらにテクノロジー製品が日常へと浸透する中でシャオミ製品が日本でどのように受け入れられるかに注目したい。

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