だが、反ジャッキー派は、要するにジャッキーが「疫病神」だと言いたいだけなのである。批判したいだけにすぎない言いがかりに近いが、こんなたたかれ方をするというのは、それほどアンチがいるということの証左だろう。
当然、ジャッキー自身も自分の発言が物議を醸し、批判的な反応が出ていることも承知しているはずだ。それでも発言を止めることはない。公の場に出れば質問されてしまうからそれはしょうがないのかもしれないが、どうしても中国寄りの発言を抑えられないらしい。
もちろん香港を一方的にたたくようなことはしていないが、反中国の雰囲気が高まっている中で中国を褒めたたえるのはいかがなものか、という意見が出るのも理解できる。
そんなことはジャッキーには釈迦に説法だろうが、それでも中国寄りの発言をする背景には、中国が映画産業において世界でもトップクラスの市場規模だという事情もあるのかもしれない。はたまた、何か私たちには計り知れない「理由」があるのかもしれない。弱みでも握られているのではないか、と。
とにかく、これからジャッキーがどんな言動をするのかについて、引き続き目が離せない。
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
新刊『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)12月24日発売!
米国、中国、ロシア、北朝鮮、韓国、イラン……。日本は国外のサイバー脅威から狙われていることをそろそろ自覚すべきではないでしょうか。
間もなく5G(第5世代移動通信システム)が到来し、IoTやデジタルデバイスなどのネットワークが爆発的に広がれば、私たちは現実社会とサイバー世界の境界がほとんどなくなる世界に暮らすことになります。新しいテクノロジーによって便利さとエキサイトメントを享受できる一方で、サイバー攻撃のリスクは今と比較できないほど高まります。世界の政府系、非国家系サイバー組織、またマフィアなど犯罪組織の活動の場は、おのずとサイバー世界に移るのです。
いや、その流れはもうとっくに始まっています。例えば日本でも、京アニ襲撃犯がサイバーを駆使し、一方でJALは大金をだまし取られている。インフラも侵入されているのです。本著が、その実態にまだ気付いていない日本人に、サイバーセキュリティについて考えてもらうきっかけになればと願っています。
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